「マッチは炎と共に燃えるために」パターソン グーの音さんの映画レビュー(感想・評価)
マッチは炎と共に燃えるために
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不思議な映画だった。
ジャームッシュ監督の作品は初めてだったので作風の比較は出来ないが、まるで沢山の物語をおじいさんの口からゆっくり、ゆっくりと聞いているようだった。
登場するパターソンの人々も、どこか弱々しいけど、どこか力強く感じた。なんだか不思議の国のアリスに出てくる住人みたいだった。
我が家の中が、白と黒で埋め尽くされていく様や、街で見かける双子は、このゆったりとした物語のひっかかりであり、妙にハラハラさせられた。
ただただ、彼女に対してのパターソンの優しさが、歯がゆくも裏切らないのが、この映画をゆっくりと味わえた理由だと思う。
パターソンの街のパターソン。
ちょっと大袈裟かもしれないけど、パターソンという人物が、パターソンという街全体(人々)を見守っている。綴っている。そんな映画だと思った。
秘密のノートがビリビリになったからこそ、たまたま出会った日本人にもらったノートがあったからこそ、パターソンの詩は、殻を破ったようにも感じた。
パターソンが有名になるとか、彼女がカントリー歌手になるとか、正直どうでもいいと思えるほど、1日1日の豊かさを考えさせる、映画でした。
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