「アメリカがトーキングヘッズを好んだ時代」20センチュリー・ウーマン redirさんの映画レビュー(感想・評価)
アメリカがトーキングヘッズを好んだ時代
70年代後半の祭りの後的なアメリカ
大恐慌の時代に生まれた母がシングルマザーとして今は豊かになったアメリカの小さな街で男の子を育てている
時代の描写 音楽 ファッション セラピー フェミニズム 価値観 趣味の相違
大人世代の豊かにはなったけどなにか満たされない空虚なった諦念
若者子ども世代は感受性が高いからパンクを聞いてパンクを生きてる、少なともクールでパンクな素振りで必死な毎日。
ジェイミーを殴り倒したりジェリーに生出ししたりする奴らはパンクがわからないマチスモ、ゲス野郎とお見受けするが、彼らもスケボーやってる。これは1979年だからここから mid90s の萌芽を感じる。
自然に出会い集まりできるコミュニティの面白さと鬱陶しさ
伏線も裏も何もないあっけらかんなストーリー。アメリカではオルタナティブな人たちなんだろう、先端をいく若者も10年経てば旧世代既得権勢力または敗北感にまみれ、この母親のように、自分はそんなに不幸せではない、と裏腹に、子どもにはわたしみたいになってほしくない、もっと幸せになってほしいと本音が出る。
ジェイミーもmid90sの男の子も、スケボー仲間、友達の悪ふざけに乗っかり生死を彷徨い母親は子どもの危機に自らの存在の是非を問い苦しむ。赤く髪を染めたパンクの申し子アビーが生理を語る(今なら普通、、この世代時代のずれが、今2020年代とくに日本にいると遅いな全然前進してないな、と思うのだが)が母親の胎内で副作用により癌ができたことにこの母親はだんまりだ。
さまざまな親と子、女と男の関係。
車で移動する時、時がたつとき、タイミングよくわからないけど。時々レインボー、七色に光り画面がチラチラして時の遷移価値観の変化や兆しを感じた。
フェミニズムとかまだまだエキセントリックな時代だったが2020年代の日本よりずっとマシだよな、その後母親が新世紀とともになくなるまでも詳らかに、ほんとに裏もなんにもない感じなので、20世紀の時代感や社会的な変容に興味あれば誰でも楽しめる。パンクを知ってる世代には今の忖度と損得のクソ社会、時代遅れっぷり揺り戻しっぷりを痛感するだろう。
ジェリーを演じるエルファニングの言葉は説得力ありあり。
三人の女子の魅力的なことそれだけでも見応えあり。俳優さんたちみんないい。
特に母親の言葉はユーモラスで笑えるところ満載、子ども世代のセリフは刺さる、時代を軽く振り返り、爽やかに楽しめる作品。