「移りゆく時代を生きた母と子のラブストーリー」20センチュリー・ウーマン nagiさんの映画レビュー(感想・評価)
移りゆく時代を生きた母と子のラブストーリー
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最近活躍中のエル・ファニング出演で本作を知り、監督の母をモチーフとした映画ということで、そういう心積もりで鑑賞。
1979年という、なんとも文化や世界情勢の乱れた時期の話。冒頭で、ジェイミーはMiles Davisや、『カサブランカ』を観て育ったと語る。女手一つで育てられた彼は、恐慌期に生まれ、助け合いの世界で育った母は心配性だと、そう言う。
母は、今の世界がもはや昔とは変わってしまっていることは知っている。彼女は、ジャズの黄金時代を生きた。そんな彼女が70年代後半から台頭してくるパンクシーンを理解できるはずもない。母親は、この現代の文化や恋愛に対して心を閉じていたのだが、息子を理解するために、自らクラブに赴いたりする。
現代の生き方を知らぬ母は、自分が重い人間では、と苦悩し、ジュリーとアビーに息子に現代の生き方を、「Good Man」の生き方を教えるよう頼む。
この2人の教育方がなんとも笑ってしまうものなのだが...(笑)
私が印象に残ったのは、彼女らがすごく知性に溢れていることである。一見世間に迎合する不良女性に見えるが、読書家で、それぞれ自分の立場をしっかりと確立している。ジェイミーはそれに答えてしっかりとこの広い世界の実際(女性に関してだが)を勉強する。
そんな教育方に母は心配を抱くもーこれは母親は誰もがそうだろうがー、ジュリーと家を飛び出したジェイミーは、「お母さんが居ればそれで大丈夫」と言う。
そこには「Good Man」の姿があった。
そんな彼を育てた、時代の流れに翻弄されながらも、逞しく、大きく生きた母の愛のストーリーであった。
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