「●悲劇のその先を考える。」わたしは、ダニエル・ブレイク うり坊033さんの映画レビュー(感想・評価)
●悲劇のその先を考える。
ケン・ローチ初見。泣かせる感動映画だと思ってたら、とんだ社会派で驚いた。その結末にも。
公務員すべてがクソなわけではなく、競争がなくて決定権があると、人は易きに流れるモノだ。最近話題のJASRACみたいに。まあ、自分があんな仕打ち受けたら、間違いなく ちゃぶ台ひっくり返すけど。
それでも世の中、親切な人たちがいるってことに救われる。ダニエル・ブレイクにも、隣人のチャイナにも、職探しに協力してくれる人たちにも。そして公務員のおばちゃんにも。
にしても、ケイティのフードバンクのシーンは刺さったわ。グサリと。強烈に。
イギリスの社会保障事情がこれほどとは。誇張もあるのかもだけど。
寝室税って、真面目な人ほどホームレスって、やっぱりメチャクチャだ。
EU離脱に票が集まるのもなんとなく理解できる。トランプ当選だって発露は同じだ。
格差社会、資本主義の限界、政治の混乱。
隣人チャイナのビジネスモデルは乱暴だけど、ある意味、こうした世界の混迷を抜け出す突破口なのだと思う。もちろん倫理的にはNGだけれど。
貴族と民衆、領主と小作、大企業と下請け、国家と地方。上意下達のクラサバ系システムから、個人と個人がつながるweb系への民族大移動。個々人でつながる信用取引。自分が困ってるのに助け合うダニエルとケイティがつながったように。
世の中、ハラ立つことは多いけれど、人の善意が世界を変えると信じたい。
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