劇場公開日 2017年3月18日

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「政府は福祉が困窮者に行き渡らないように画策している」わたしは、ダニエル・ブレイク 月野沙漠さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0政府は福祉が困窮者に行き渡らないように画策している

2017年3月30日
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去年、川崎市市民ミュージアムで観た、昔の作品の『キャシー・カム・ホーム』と確かに似ている。50年も前の作品なのにお役所の姿勢はは何も変わっていないようですね。 キャシー~は都会を夢見て無計画に田舎から出てきた娘が、都会で知り合った男と所帯を持つが失業し、政府の保護を受けることの困難さを描いていたけど、こんどは心臓発作で仕事を医者に止められている老人が失業給付を申請する話。
今回は主役がお年寄りになったことと、役所での申請がパソコン必須になりつつある事の弊害も加わってます。お年寄りはパソコンが苦手ですからね。電話の対応は機械音声、求職手当の申請に、働けないのに面接の実績と証拠が必要ときた。 この主人公は心臓の病気で医者に仕事を止められているのにですよ。 これは機械が苦手なお年寄りじゃなくてもイライラすると思います。
イギリスでは数年前の福祉改革により、最貧困層にある家庭200万世帯の状況がさらに悪化しているそうです。改革とは名ばかりですね。生活保護などが削減され生活困窮者がさらに困窮しているとの事。またこの映画の中で悪態を突かれていた、使っていない寝室に税金を課すという寝室税は
初めて知りました。福祉の名の下、貧しい人がより貧しくなるのは何故なんでしょうか?なんかおかしいですよね?
それから二人の子供を抱えたシングルマザーも登場します。彼女はお金を稼ぐために禁断の方法に手を染めてしまうのですが、そのきっかけは貧困が原因の子供のイジメなんですね。しかし、その禁断の方法はより子供が差別を受けやすくなるというのに、やもえず落ちていく感じが切なかったですね。
登場人物が不器用すぎる感はありますが、格差社会が急速に進む昨今、この映画を観て多くの人に理不尽さを感じてほしい。

月野沙漠