「人を殺す戦場で人を助けること」ハクソー・リッジ parsifalさんの映画レビュー(感想・評価)
人を殺す戦場で人を助けること
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メル・ギブソン監督ということで、興味深く思って視聴。沖縄の前田高地(ハクソー・リッジ)という場所で、実際にあった戦闘・救出劇を題材にしている。戦闘シーンは、これでもかこれでもかっていう位に、生々しい描写。相手の雨のような銃撃がヘルメットを貫通して簡単に仲間が倒れ、砲撃や銃撃で血が飛び散り、両足がふっとび、はらわたが飛び出る。白兵戦では、敵味方が入り乱れて、殴り銃剣やナイフを突き刺す。
一通りの戦闘が終わって、主人公のドスは神に問いかけ、負傷兵を一人また一人と引きずって助けていく。しかも敵兵までも。こんなに多くの兵士を助けるなんて無理でしょって思ったら、実話と聞いてびっくり。
冒頭、先を争って崖を登るシーン、兄弟喧嘩が嵩じて、ドスが兄のトムをレンガで殴ってしまうシーン、父が母を虐待している時に父に銃を突きつけるシーンで、人の中にある闘争本能、生き抜こうとする本能が提示され、それを克服しようと主人公が誓ったことが提示されている。そうした本能や感情と信仰(人として曲げてはいけないもの)と両立させることはできないのか? それが、この映画のテーマかと。
人を殺す戦場で、人を助けることだけを自分の信念に基づいて行動したドス。どの宗派かは調べていないが、そういう宗教もあるっていうのは一つの救いか。世界を見渡せば、戦争とか紛争がある国や地域はある。そういう問題に、自分は何もしなくてもいいのかって突き付けられるような気がした。ドスのようなことでなくても、何かできるのではないかと。
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