「自己犠牲」ハクソー・リッジ ミカさんの映画レビュー(感想・評価)
自己犠牲
ドスは確かに模範的な良い人です。ただこの作品は、「人を殺す」という戦争の核心には触れていません。ドスの様な善良で盲目的な人のおかげで、戦争という殺しが継続できることだけが分かります。なぜなら彼は、文句を言ったり、発狂したり、途中で辞めたり、逃げたりせずにいるからです。頑なに信念を曲げない事は決して悪いことではありませんが、この作品で描かれているドスには、共感することはできませんでした。
この作品のテーマは「戦争」という本質と向きあうのではなく、自己犠牲の精神を美談として描いている様に感じました。美談に仕立てると戦争の本質が見えなくなります。自己犠牲という暴力が見えなくなります。日本軍も過労死もブラック企業も必ず自己犠牲を強いてきます。もともとそういう考えの作品であれば、仕方がないとしか言えません。
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レントさんのコメント
2024年7月15日
自己犠牲というものを美談にしようとすることの危うさ。特攻を美化した作品と同じものを感じます。
この作品を単純に感動したと言ってる人たちとは一線を画す鋭いレビューですね。