「信仰の狂気が勝利する瞬間。」ハクソー・リッジ バッハ。さんの映画レビュー(感想・評価)
信仰の狂気が勝利する瞬間。
信仰における信念から誰一人殺さない。武器も絶対に持たないが、ひとりの国民として戦争には役に立ちたい。それも苛酷な最前線で。
劇中で困惑する上官たちならずとも、ちょっとおかしいんじゃねえかと思うだろう。誰一人傷つけたくないのに、戦争の大義は否定しない。そこには大きな矛盾がある。その矛盾を埋めようという努力を主人公はしない。ただ、現実を自分の信仰の基準に強引にハメ込もうとしている気すらする。
だから衛生兵になって、傷ついた兵士を助けたい。そう固く決意して、本当に実践してしまった男の実話なわけだが、クライマックスで男の信念に捻じ伏せられた。
「神様、あと一人助けさせて」と祈りながら、米兵も日本兵も治療し、救出して回る。偽善、と言えば偽善だと思う。が、偽善であってもここまでやれば善なのだ、と本作を観ていると納得せざるを得ない。まさに結果がものを言う。正しいかどうかはわからないが、正直感動した。
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