劇場公開日 2017年6月24日

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「生々しい戦争の軌跡」ハクソー・リッジ サブレさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0生々しい戦争の軌跡

2017年7月1日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

怖い

武器を持たずに多くを救い、誰も殺さなかった兵士の実話。と題打たれた作品。戦場がメインで戦争の凄惨さを描くのかと思いきや、主人公であるデズモンドの青年期から兵士に至るまでを丹念に描き、戦争ものではなく人間ドラマのようだった。とはいっても戦争の描写はすさまじいものがあったのだけど。

なぜだかわからないけれど、観る前はデズモンドが工夫を凝らして戦場から負傷者を助けまくる話かと思っていた。最近の邦画の戦国ものだと少数人数が工夫を凝らして大軍を退ける話が多かったからかもしれない。けれど、実際に必要だったのは鍛錬鍛錬鍛錬。諦めない気持ち。絶対に武器を持たないと宣言して、部隊内で孤立したときもただただ実直に自分の意見を貫いていた。
これはデズモンドが胸に灯す信念を描く話だったのだ。単なる戦争ものでもなければ、戦争時におけるイレギュラーな英雄譚でもない。一個人が自身の信念を燃やして奮闘する、熱いドラマだったのだ。

もちろん戦場の緊迫感や凄惨さもきちんと描写されている。それだけにハクソー・リッジの戦いが沖縄戦であったことを宣伝しなかったのは残念。終戦記念日が近づくと必ずある、人を殺すこと、人が死ぬことはただただ恐ろしくて悲しいという戦争ドラマとは一線を画していたから。日本のドラマからも、こういう人ひとりに焦点を当てた、過度に感情を煽らない戦争ものが出てくると嬉しい。

サブレ