劇場公開日 2017年6月24日

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「震える実話」ハクソー・リッジ nagiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5震える実話

2017年6月27日
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鑑賞方法:映画館

ご存知メル・ギブソン監督、アンドリュー・ガーフィールド主演の本作。アンドリューは『アメイジング・スパイダーマン』でエマ・ストーンとイチャイチャしてた印象があり、嫉妬半分で応援している。最近は『サイレンス』やら本作やら、重厚な作品の主演も務めるようになった。

本作の見所は彼の決して変えない強い信念であろう。「汝、殺すなかれ」の教えの下、決して武器を持たず、他人を傷つけないことを神に誓った主人公。彼女との結婚式に規律違反で投獄され、向かえなくなり、彼女にそのプライドが邪魔をしていると言われる。確かにそうなのだ、しかしそのプライドを捨てたこの先、自分はどう生きていけばいいのだろうか。彼は一人の男として、自分の生き方を決して変えたくはなかったのだ。
その後のハクソーでの彼の決死の救出活動については言わずもがなだろう。

彼を「もう一人、もう一人」と自らの体を傷つけながらも、救出活動を続けさせたのはなんだったのだろう。敵である日本人兵士をも救ったのはなぜだろうか。ただ彼の誠実さによるものなのだろうか?

それはやはりイエスのいう、友愛・隣人愛というものだろう。私はクリスチャンでもなければバイブルさえもきちんと読んだことはない。しかし、彼の、自己犠牲・赦しという考えられないほど壮大な生き様が、多くの信者を生んだのだろう。主人公は、もし大切な人を傷つけられたらどうすると問われると、問題が大きすぎてわからないという。それでいいのだろう。復讐に復讐を重ねたところでポジティヴなものは何も生まない。自分のやるべくは、今自分の前に苦しむ人に助けの手を差し伸べること、それに尽きるのではないか。平等の愛、自己犠牲、赦し。これこそが神の生き様なのである。

本作のようなテーマの映画は多数あろう(私が最近鑑賞した中では『灼熱の魂』が素晴らしかった。)。しかしこの作品の物凄いところは実話であることだ。実話とフィクションでは我々が受け取るものが異なってくる。この作品をノンフィクションと思えない方も多いはずだ。私もそのうちの一人である。こんな生き方をする人があっていいのか...むしろ、このような生き方をできる人がいる中で、自分がのんびり劇場で座っていて良いのだろうか?この映画を観たあなたは、この映画をただ良かった、感動したの一言で終わらせるのか?その1時間後にはSNSで下らない話題に薄っぺらい笑みを浮かべているのだろうか?私にそれはできない。彼と同程度までは言わないが、自分がこの世界に対して、いや、もっと狭くてもいい、自分の身の回りにおいて、どのように生きていくか。何が必要とされているのか。自分のすべきことは何か。言い過ぎにも聞こえるが、そういったことを伝えるのが、ノンフィクションの意義ではないだろうか。

最後に、余談だが、恋人役のテリーサ・パーマーがめちゃくちゃ可愛い。
アンドリューの恋人役が毎回超絶美人なのは、非常に歯がゆい。関係ないが、ジェシー・アイゼンバーグにクリステン・スチュワートを当てるのも歯がゆい。羨ましい限りだ。

nagi