劇場公開日 2017年6月24日

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「人の自我を守るものが何かを教えられたで賞」ハクソー・リッジ 幸ぴこリンさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5人の自我を守るものが何かを教えられたで賞

2017年6月25日
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鑑賞方法:映画館

戦争を経験すると人が変わる というのはよく聞かされる事だし、主人公の父親もまた然り。戦争で多くを失い、果ては自らを失った男だ。

ではなぜ、主人公のドスは自分を強く持っていられたのか?それは彼が信仰を曲げずにいたからではないだろうか。
臆病なのではなく、戦いからの逃亡でもなく、単に自らの役目を周りと異なる位置に定めていた。
軍法会議にかけられても信念を曲げず、貫き通した男の姿が戦場での凄惨な出来事の中で非常に深く描かれる。
「殺しあう人々の中で、1人助ける奴がいたっていい。」敵味方に関係なく日本兵までも救助し、この言葉を見事に実現させている。
銃を手に取ったなら、彼の信仰は足元から崩れ落ちていた事だろう。

本作は凄惨な映像によって戦争の辛さを訴えかけてくるだけでなく、宗教であろうと親の教えであろうと、信じるものはどんなマイノリティで否定されても決して捨ててはならぬというまっすぐなメッセージを訴えかけてくる映画だ。

訓練宿舎での暴行の翌朝に軍曹とドスが切なく会話をするシーンと、スミティとドスのハクソーリッジ初日の夜の語らいシーンが個人的には印象深くて好きだった。
ドスの優しさ、強さを感じじわりと涙が…

内臓がフリンジファッションの如く引きずられたり結構グロい。延々続く戦火の展開に途中で終わりが見えなくなりかけたけれど、ラストの空を見上げるシーンが程よく自分の中の緊張感を解きほぐしてくれて安心してエンドロールを迎えられた。

面白いとか、悲しいとかそういった感想は出てこず、ただただ重く、それでも鑑賞の堪え難い作品ではない。信仰の重要さを終始感じさせられる2時間弱だったかな。

日本兵の自害と白旗についてはノーコメントで!!w

幸ぴこ