「暴力に走らせたものは」ヒトラー最後の代理人 ke_yoさんの映画レビュー(感想・評価)
暴力に走らせたものは
歴史上類を見ないほどの残酷な強制収容所で大量虐殺をしていたと思えぬ淡々とした語り。
終わってもなお、自分のしたことの過ちをまるで他人事のように捉えるその雰囲気は、異常性に満ちていて、逆にとてもリアルだった。
仕方なかった、命令は絶対だった、あれは仕事だった
そうではなくて、ことの重大さに気付き、犯した罪の大きさに押し潰されて、罪の意識に苛まれ過ぎて心を病んでよ…その方がまだマトモ。何で大丈夫なの?
死ぬまでナチスの党員のままだったんだね。
それとも、そういなければ平常心すら保てなかったのか。
最後の方で、刑事を暴力に走らせたものは、彼らを狂気に走らせたものと同じか。
人の善悪や道徳は脆く、暴力性や残酷さは、容易く顔を出すのか?それを言いたくてあのシーンを入れたのだろうか。
本日、日本は終戦記念日。
世界ではまた戦争が始まりそうな不穏な情勢の中、この作品の持つ淡々とした不気味さと、人類の過去の大失態を思う。
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