劇場公開日 2017年9月30日

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「アクションに徹したシンプルで潔い作品」亜人 みかずきさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5アクションに徹したシンプルで潔い作品

2023年3月18日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

興奮

知的

最近は、凝った、捻りの多い理屈っぽい作品が多いが、本作は、そういう作品とは一線を画した、極端に言えば、何も足さず、何も混ぜず、何も捻らず、只管にアクションに徹した潔さが奏功したシンプルな作品である。

舞台は2017年の日本。研修医である永井圭(佐藤健)は交通事故死するが、死後、肉体が蘇生し生き返ることで、自分が特殊身体能力を持った不死身の新人類“亜人”あることを知る。彼は亜人であるが故に現人類に虐げられるが、同じ亜人である佐藤(綾野剛)に救われる。そして、マイノリティーである亜人達は、佐藤をリーダとして現人類に戦いを挑んでいく。しかし、主人公は、戦いを好まず、佐藤と対峙していく・・・。

不死身の人間というと、本年公開の時代劇“無限の住人”を思い出す。無限の住人が、不死という無間地獄を彷徨う主人公を描いたのに対し、本作は、不死の人間は亜人というマイノリティーであり、彼らの現人類に虐げられた怒りが描かれている。何といっても佐藤を演じる綾野剛の圧倒的な存在感が際立っている。軽妙な言葉遣いではあるが、心の底に抱えている現人類に対する煮えたぎる憎悪を全身で表現していて凄味がある。一方で、主演の佐藤健は、唐突に亜人であることを知って迷い苦しみながらも自分の取るべき道を必死で探していく主人公のストイックさを好演している。

本作は緻密な作品ではない。粗削りで突っ込み処も多い作品である。背景、設定の大雑把な説明はあるものの、詳細説明はしない。深追いはしない。登場人物達の人物像の掘り下げも浅い。荒唐無稽であり、生き返りのルールにも矛盾がある。しかし、亜人対現人類、佐藤対主人公の戦いにフォーカスし、アクションに徹しているので、ストーリー展開にスピード感がある。アクションシーンは、亜人の特徴を活かした斬新なものではあるが、銃撃戦、格闘技が中心であり、アクション映画の基本に忠実である。結果として、アクション映画の良さが存分に引き出された作品に仕上がっている。

ラスト。上映時間も短く、あっと言う間にエンディングを迎えてしまったので、物足りさが残った。次を予感させるエンディングだったので、続編に期待したい。

本作は、理屈で観てはいけない。野暮は言ってはいけない。アクションシーンを無邪気に無心に堪能する作品である。

みかずき
みかずきさんのコメント
2023年3月19日

CBさん
共感&コメントありがとうございます。

映画のメインは映像表現なので、
理屈で観ると意味不明な作品があります。
感覚的に観ないと分からない作品があります。
本作は、そういうタイプの作品です。

逆に理詰めで観ないと楽しめない作品もあります。
理屈と感性のハイブリッドタイプの作品もあります。

映画の鑑賞方法も色々あって面白いです。

では、また共感作で。

ー以上ー

みかずき
CBさんのコメント
2023年3月19日

> 理屈で観てはいけない
ですね。いろんな映画がありますよね

CB