「声が描くもの」光(河瀬直美監督) まんてんさんの映画レビュー(感想・評価)
声が描くもの
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以前に見たDVDに予告編が収録されており、音声ガイダンスに関わる映画に少し興味があったので今回レンタルしました。
視覚しょうがいを持つ方のための映画製作過程と、視覚しょうがいの現実を描くシーンが不可欠であるため、全体のトーンはやや重いものとなっています。また、ヒロイン自身も家庭に重い問題を抱えている設定ですから、「娯楽として楽しむ」という作品ではありません。
ただ、「であるが故に」深く感じるものもあります。
失ったもの、失っていくもの、失ったかすら確認できないもの・・・
最初は嫌悪感を抱いていた人間に、自分でも理由がわからないうちに憐れみを覚え、それがいつしか愛と区別がつかない混沌に発展すること、私はあると思う人なので、ヒロインの行動(夕日のキス)についても違和感はありませんでした。
劇中映画は最後に樹木希林さんのガイドが入った完成版で上映されますが、そのガイド音声が劇中映画のためだけのものではなく、本作自体の完成型に不可欠なものでもある点に感服しました。良作だと思います。蛇足ですが水崎綾女さん、存じ上げなかったのですが、良い女優さんですね。
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