「光をください。」光(河瀬直美監督) ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
光をください。
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音声ガイドという仕事を詳細に描いているのが興味深かった。
普段聞き慣れない説明調の言葉をどう感じるか。これは見て
語る立場と見ず理解する立場ではかなりの大差があると思う。
ヒロインは白黒つけたがる若き美人女性、実生活では苦労を
抱えているが果敢に仕事に挑んでいる。カメラマンは弱視で
いよいよ見えなくなる日が近づいている。ヒロインのガイド
に堂々と文句をつけ突き放すが、二人は反撥しているようで
実は似た者同士、互いを傷つけながらも徐々に近づいていく。
自身が見える立場なことから、音声ガイドをどう感じるかは
難しいが、映画にはやはり余白と間が必要だと思う方なので
あまりの説明過多は邪魔に感じると思う。また観る側も流し
聴きするか入り込むかでまた違う。どれも人それぞれ、故に
総勢が納得するガイドなど作れるものなのかと思ってしまう。
押しつけの定義も難しい。それを親切ととるかおせっかいと
とるか。藤竜也がいうように演出の意味合いはグレーであっ
ていいと思うほうだ。解釈するのも感じとるのも自由だから。
ラストのガイドをあの女優が務める。声の感触が変わるだけ
で受け取り方がこんなに変わるものかと観客は気付くはずだ。
(永瀬正敏は完璧。カメラを取り返すところなんかゾクゾク)
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