「いいんだけど、主人公がなんだかな。」光(河瀬直美監督) だいずさんの映画レビュー(感想・評価)
いいんだけど、主人公がなんだかな。
映画の音声ガイドを作成する仕事をする女性と、視力を失いつつあるカメラマンの交流のお話。
これは、ラブストーリーに分類されるのかもしれませんが、ラブ部分がいっきなりくるので(山でいきなりぶちゅー)、私としては唐突に思いました。
いいところいっぱいありますが、主人公ちゃんがなんかバカで、いらっとしました。
永瀬正敏を怒らせるセリフとか、ちょっとあまりにもデリカシーがなくって。
わざとそのセリフを選んでるんだろうと思うのですが、ぎょっとしました。役者がどうのというより脚本や撮り方の手段が、なんかはまれない感じがしました。
たぶん、主人公ちゃんは「普通の」若い女性として描かれているのだと思うのですが、この映画で意図された「普通」がね、私にはとっても前時代的というか、稚拙に感じられてね、もやっとしました。
もうちょっと知的な「普通」のが、個人的には好ましかったなーなんて。
結婚式の招待状捨ててる理由は、式場のバリアフリーよりも、まずわけありの相手からなんちゃうかなーって想像が、先に来ない人って、鈍感すぎない?あたしぜったい好きにならへんと思うのですがね。
よかったところは、映画の音声ガイド作成という仕事の雰囲気を知れたところです。NHKのサラメシとか大好きなので、知らない仕事を知るのは喜びです。そしてそこで働く人の横顔は、やはり美しいですから。興味深かったです。
見えない人がどう映画をとらえるかということを、外から眺めるという視点は今までになかったので、新しい発見でした。
ある映画が劇中劇として出てきて、その試写会の始まりと終わりが光という映画の始まりと終わりでもあるという、構成も素敵と思いました。
永瀬正敏もとっても良かったですし。
あと、近鉄奈良駅前とかの奈良の町がね、懐かしいなーと思っていました。
神野美鈴は劇中劇に出演する役者であり音声ガイド製作の責任者っぽかったですが、どういう立ち位置なんでしょね。
主人公にまつわることは、結構いちいち気になりました。
お父さんへの執着の意味がよくわからないです。
お母さんへのためらいも匂わさせておきつつ、よくわからなかったです。
ちょっと認知症っぽい感じがあったので、一人娘としては重く感じていたってことなんでしょうか。お父さんのお財布(懐かしいお札!)を大事に眺めてた理由とかが全然わからずでした。
あと、時間の経過が、なんかよくわかんなくて、この映画での省略は、はまらなかったです。