「切り取られた光りの記憶」光(河瀬直美監督) くりさんの映画レビュー(感想・評価)
切り取られた光りの記憶
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見える人には、思考の妨げになる言葉
も使い形によっては
見えない人にとっても邪魔になる。
状態を表現するときに
主観を混ぜるとうるさくなる。
日常的な会話でもたまに
感じることです。
それは、
あんたの考えでしょ、とか
心のなかで反芻するのを
思い出しました。
言葉のやり取りから始り、
傷付けあいながらも、肌を通して
お互いの存在を確認していく
綾女と雅哉の交流に
知らぬ間にひきこまれました。
視覚障害者の創造力はすごくて
スクリーンの中から映像に参加する
そうですが、見える観客も同じで
本当に同化する錯覚にとらわれる
作品が稀にあります。
永瀬さんは、本作撮影前にそれまでの
魂をおいてきて、
撮影に挑んだそうですが納得でした。
作品の世界で生きているようでした。
どのシーンも日常のひとこまをそのまま写したような現実感で心情がかぶさってきます。
本作は、差し込む光りもこだわって
撮影されたようで
映像は観客の人生と繋がって、
目に焼き付いているものが甦る
ようでした。
美しい、夕焼けの黄昏や昼間の
太陽光のプリズムは、観る人それぞれの
場面を呼び覚ましてくれます。
私は小学校の夏休みの日射しや
大切な人と過ごした夕暮れと
重ねていました。
琴線に触れる出来事が最近ないなーと
思っている人に是非体験してほしいです。なにかを考え直す機会になると
思います。
おすすめ。
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