「好き嫌い別れます…」光(大森立嗣監督) 野々原 ポコタさんの映画レビュー(感想・評価)
好き嫌い別れます…
あまりにもみなさんの評価が低いようなので
いち個人の主観ではありますが『星五つ』をつけさして下さい。
音楽も映像も「奇抜だ」、「奇をてらいすぎだ」
と思う方もいるでしょうが
私には前衛的なアート作品だと思いました。
悪く言えばひとりよがりな感は否めない作品ではありますが、
私の中には静かに、そして深いところで、言い知れようのない
オリ
《 心の澱 》がふわふわとゆっくり漂うのを感じた…
そんな忘れられない作品となりました。
…と、わたしの作品から受けた心象を比喩のようにたとえた所でしょうがないですよね…
個人的見解ではありますが、もう少し直接的な話をしましょう。
本作タイトルが示す『光』とは一体何だったのでしょうか?
わたしが思うに、輔に対しての『光』は【信之】そのものであるのは間違いありません。
子供が気を引くために、駄々をこねて親を困らせるように
輔は信之の心に自分の存在を刻みこもうと揺さぶりをかけるために
接触してきました。それがたとえ逆に自分が殺されるかもしれない
と分かっていても、です。
そして信之にとっての『光』は【未喜】であり
また、未喜にとっての『光』はたぶん、あの幼い頃の島での生活そのもの
から逃避するための芸能界での【女優としての地位】ではないのでしょうか?
輔、信之、未喜の関係性が《三すくみ》のような存在の彼らが
互いに『光』を求めあったという、
お話の構造を指しているのだとわたしは思いました。
追記:同じ大森監督作品『日日是好日』も『光』ほどでは
ないですが同じような感覚にとらわれました。
どちらか一方を視聴された方はぜひ、もう片方の
作品も観て頂けたらと思います。