「白い暗闇」光(大森立嗣監督) atararuiさんの映画レビュー(感想・評価)
白い暗闇
映画の始まり ヤバイものがやってくる感を離島と海とテクノミュージックで予兆させられゾクゾクきました 不快なツタが絡まりつくような音楽はまるで罪悪感や怒りのようで観てる側の身体にもそのツルが延びてきて絡みつくような感覚があり息苦しい これは信之の持つ罪悪感で無く自分の中に眠ってる罪悪感が呼び起こされた気もしなくもない 小さくとも何かのソレなんだろう 要するに何かしら大罪である殺人になんぞに関わると人間は見えない足枷を普通にしてても はめられてしまって どこかにシワ寄せがくる気がしてならない
信之はその普段の素振りからは暴力なんて微塵も致しませんと見せかけて実はこんな人の方が恐かったりする
輔は幼い頃から受けてる父親からの暴力で歪んだ愛情を受けてきたせいか最後 信之から殺されるなら良いとも思ってしまっているという一般的には理解し難い人物(好きな人に殺されたいに近いのかも知れずこれだともっとわかり易い) 島で仰向けに寝転ぶ信之の場面では 輔までもを殺害し ずっと美花に尋ねたかったことも聞け自分なりに納得し 延び放題だったツタが逆回転で収拾されてく様子が上手く音楽で表現されていると感じた 私には 最後 床下に眠る輔から生えた樹木は 光ある場所を求め暗がりから這い出してきた輔の象徴としても見て取れる 家に戻った信之は収拾されたに思えたツタが いつか妻 南海子によってまた絡まり出すかもしれないということをまだ知らない
その行方は南海子のみぞ知る
人間も動物も植物も光の射す方へと向かう本能があるのではないだろうか その光が強ければ強いほどまた逆の白い暗闇が訪れるということも知らずに
そんな気がしました
2019/6/23 追記
この作品だけ3.5にしたのはアートな場面が個人的に無い方がしっくりくると思ったから ツタと音楽でシンプルな方が好みでした