「希望を見出せない時にこそ、光が増し始めようと動き出すのかも知れない!」素晴らしきかな、人生 Ryuu topiann(リュウとぴあん)さんの映画レビュー(感想・評価)
希望を見出せない時にこそ、光が増し始めようと動き出すのかも知れない!
誰の人生にとっても、最大の哀しみと、苦痛である愛する人との死別。
この人生最大のイヴェントに真正面から挑んだ本作品を観た人の中で、主人公のように、愛する者との死別の悲しみを抱えている人の中には、きっと本作を観る事で希望の光を見出せる人も多いのではないだろうか?
本作の主人公のハワードは、愛する娘の死を受け入れられず、彼の人生の中では娘との死別以来、時間が止まったような苦痛の日々が続き、そんな彼を救い出すべく、会社の同僚3人が有る、計画に出るのだが、ハワードはまた人生に生きる力を取り戻せるのだろうか?
私は本作が、「プラダを着た悪魔」のデビッド・フランケル作品とは気が付かずに観たのだけれども、丁寧に主人公の心理を描き込んでいく演出の巧さに、思わずドンドン引き込まれて行った。そして本作が、フランケル作品と知り納得した。これまでのフランケル監督作品もテーマは違っていても人間の悩みや、人生の喜怒哀楽を巧みに描いて来ている作品ばかりだ。
そしてまた俳優陣が芸達者な人材で揃えられている点も映画の説得力の要因として大きな裏付け力となっている。
そして脚本の見事な事!人の人生は時間軸に支配され、時間が有限有るからこそ、死別が存在し、有限な時間軸に支配されている人生故に愛は無限で有っても、死別の前には乗り越えられない壁に為り得ると言う、この生物に与えられている自然の摂理のパワーとサイクルを巧みに描き出している事には心底脱帽する。
愛も時間もそして死もその総てが人生その物であり、時間・死・愛が複雑に絡み合い人生が美しいタペストリーとして、貴方らしい人生を構築し、この3者の絡み合いの変化こそが、その人それぞれの固有の人生を完成させる。どれ一つ欠けても人生は成立しないのは当然の理だ。
余談だが、私はこの夏に母と死別して、4か月を間もなく迎えようとしているが、一向に気持ちが元に戻らない事に苦痛を覚えていたが、本作のハワードに救われた。中々受け入れられない事実だけれども、時間経過と共に徐々に受け入れて行く迄の心の準備期間を辛抱強く自分自身が諦めずに待ち続けて行く事の忍耐を許していく事なのだと感じる。
幸せのおまけは本当に存在するのかどうかは、来年の宿題と思って楽しみに待つ事にしようと思う。
本作のラストが描き出すシーンに付いては、現実なのか、或いは幻想なのか?その解釈は個人個人異なると思うけれど、これこそが大いなる神の成せる御業だと信じたい。
それにしても、ヘレンは素晴らしかった!だが、いくら覚悟を決めたつもりでも、死別の寂しさの前ではどんな覚悟も無力で成す術を失うものだ。
また来年、幸せのオマケを確認出来たかどうか、観直してみたい作品だ!