「すべて象徴が刺さる。幸せのオマケ」素晴らしきかな、人生 ゆきさんの映画レビュー(感想・評価)
すべて象徴が刺さる。幸せのオマケ
時間の象徴が言うセリフ
「時間なんて、人間が勝手に決めた概念さ」
6歳という幼さで命を落とした娘を悔やむ...悔やみきれないハワード。
しかし、時間の象徴に言わせてみれば、6歳は一見短命だけどそれは数字の概念を勝手に人間がつけただけ。
家族ならその時間を数字ではない時間の重さで理解できるはずと言いたかったんだろうね。
愛の象徴が言うセリフ
「私はいるわ。その痛みの中にも」(確かこんな感じ)
愛って幸せな空間に存在するものばかりかと思っていた。けど違う。
愛があるから痛むし、愛があるから傷つくし、苦しくなる。
愛はいつでもそばにいるってこう言う意味だったんだね。
死の象徴が言うセリフ
「いざとなれば、私が愛の役もやるわ」
これは演じるのがすきな老女が言うのだが、ただのでしゃばり、やりたがりではない。
それは死のセリフなのだ。そうつまり
「いざとなれば、死は愛にもなる」
この言葉の重さ計り知れない
死が訪れることで、そこには同時に愛も見える。見えてしまうものなのだ。
他にもそれぞれの象徴と同僚の象徴もよかった
死の象徴 老女と末期ガンの同僚
愛の象徴と離婚して娘や妻を傷つけた同僚
時の象徴と精子バンクに登録するキャリアウーマンの同僚
それぞれの象徴が同僚たちに放つ言葉に注目すると、かなり面白い映画です。
これはさ、
ハワードに口を開かせるきっかけを、
悲しみを話させるきっかけを作る必要があったんだよね。
悲しみは人にはあげられないけれど、
一人では受け止められないから。
奥さんは一年の時間をかけてあることに気がつく。
突然流れる涙は、悲しみの涙ではなく、人に支えられていると気がついたときの涙だったのだ。
死の中の愛に気がついてしまった
それをハワードも後々知ることになる
その時やっと、元妻と抱き合いながら泣くことができる
悲しいときに思いっきり泣かせてくれる
人に支えられてると感じられる
それは、幸せのオマケ
きっとハワード夫妻の残りの人生は、幸せのオマケなのだ