「内容はタイトルの通りだが、テイストは激渋」トマホーク ガンマンvs食人族 バッハ。さんの映画レビュー(感想・評価)
内容はタイトルの通りだが、テイストは激渋
序盤から中盤がタルいという人もいるようだが、自分にとってはとても豊かな時間だった。
さらわれた妻を助けなくてはならないのに、遅々として進まないうんざりするような4人の行軍。誰よりも焦っているのに一番のお荷物になってしまうアーサー(パトリック・ウィルソン)、経験に裏打ちされたブルーダー(マシュー・フォックス)の自信、現実主義で浮つくことのない保安官(カート・ラッセル)、そして場の空気を弛ませる老保安官補(リチャード・ジェンキンス)のお喋り。チームとしてはガタガタだが、目的に対してひとりもブレることがなく、いつしかそれぞれへのリスペクトも芽生えていく。
そして終盤のバイオレンスが唐突に炸裂する衝撃! しかし転調するのではない。あくまでも地味シブを貫いてきたこの作品ならではのストイックさで、恐怖を煽るようなMEやSEも一切使わないからこそ、底冷えするような戦慄がある。無造作にゴロリと投げ出される死。放り出された伏線。戸惑いとともに、強い説得力に感じ入る。傑作。
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