「観る人を選ぶ映画だが」サラエヴォの銃声 あひるさんの映画レビュー(感想・評価)
観る人を選ぶ映画だが
第一次世界大戦の発端となったサラエボ事件、そして1990年代の旧ユーゴスラビア解体の過程と現在に至るまでの知識がないと、深く理解するのは難しい。観る人を選ぶ映画であることは確か。
しかし、ここに登場する人々は、決して遠い国の知らない人々ではなく、歴史を生きる私たち一人ひとりである。かつて親しくしていた隣人を敵とみなさざるを得なくなり、停戦を経て平穏を取り戻したようには見えても心の深いところでは納得することがない。登場人物一人ひとりが、アンビバレントな感情を抱えつつ生きていくしかない。そんな状況を美しくまとめることなく描ききったダノヴィッチに拍手を贈りたい。
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