「だらしのないダメ人間・・・」裏切りの街 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
だらしのないダメ人間・・・
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だらしのないダメ人間、ばっかりで驚いた。
そうくるとは思わなかった。
フリーターさえまともにできないクズのヒモ男と、不自由のない退屈な生活になにか閉塞感を感じている生気のない主婦。
この二人の出会いから結末まで、大方の想像はつく。
池松のだらしなさに嫉妬(この感情なんだよなあ)し、寺島のけだるさに苛立ったまま進行していく。
ただ、みんなダメ人間だったとは。「裏切りの街」とは裏切り者ばかりが住んでいる街だった。もしかしたら、裏切りの連鎖はどんどん広がっているんじゃないかとさえ思えてきた。
他の連中のクズっぷりのおかげで、池松と寺島が純粋にさえ見えてしまった。
ベビーカーの赤ん坊の父親は、結局、池松なのだろう。平田満は知ってて産ませて、後ろめたさを覚える寺島の足に堅牢な鎖を繋ぎとめたわけだ。その魂胆の底意の恐ろしさったらないな。平田は、初めにヨレヨレのオッサンで登場しておいて、最後のほうには颯爽と愛人の元へと去る色男になっていた。役者ってすごい。
それに、終始笑顔だった部下の駒木根が、一番最後に見せた冷徹な表情の意味たるや、想像するだけで寒気がする。
赤ん坊を映さないのは上手い。写さないからこそ、その結果(=赤ん坊)が「非日常感」の象徴のように思えた。
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