劇場公開日 2017年4月22日

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「ブルース・リーが2度出てきた!」イップ・マン 継承 詠み人知らずさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ブルース・リーが2度出てきた!

2024年6月8日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

1959年の香港を舞台とした詠春挙の達人イップ・マンの物語。中国では、戦前から都市文化が根付いているが、本作でも社交ダンスや室内での食事の場面、古式のエレベーターにそれが現れていた。まず興味深かったのが、木人椿、ジャッキーの映画などで、からくり人形として見てはいたが、ボクシングのサンドバッグみたいにトレーニングに使われるのだと分かった。
格闘技としての見どころは三つあり、最初がイップ・マンの子供の小学校で、土地買い占めを狙う不動産業者の手先に子供が閉じ込められた時、子供同志の喧嘩を通じて知り合った格闘家チョンと協力して、集団と斗うところ。
次が、不動産業者の親玉に扮するマイク・タイソンとの室内での対決。流れについて合意はあったろうが、かなりの部分までガチであったのでは。3分間の対決は、多分に異種格闘技で発達した低い姿勢から足技を使うこと、決着での空手精神など、日本の影響があったように思う。素晴らしかった。
最後が、詠春挙の同門チョンとの戦い。最初が棒術(ややイップ・マンが優位か)、次に双剣術(対等か、チョンが目を狙うのがやや気になった)、最後に格闘技で。イップ・マンは、技が正確で早く、しかも粘り強い。本人椿で鍛えた短打接近戦が目立った。ドニー・イェンによる演技は、あまりに安定していて、ややストイック(禁欲的)、しかもスタティック(静的)。ドライよりも、ややウエットが好まれる日本では、評価が分かれたかも。
その分、イップ・マンの奥さんウィンシンとの情愛が味わい深く描かれていて、夢のように美しかった。ダンスの場面等で、奥さんの背が高いのが目立ったのも印象的。なぜ、最後に、同門同士で争わなければいけないのか、素人の私にはピンと来なかったが、終わってからしばらくして、最後に出てきた技にその秘密があるのかなと思った。日本の関与は、音楽でも目立った。
イップ・マンを見ていて、鮮烈さのブルース・リーやユーモアを背景にコミカルなジャッキー・チェンにも味があることが判った。上映してくれた劇場に感謝し、4部作の残りも是非、観たい。

詠み人知らず