「詠春拳武館をブルース・リーが継承する話ではなかった。」イップ・マン 継承 kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)
詠春拳武館をブルース・リーが継承する話ではなかった。
前作『イップ・マン 葉問』のラストで少年期の李小龍=ブルース・リーが登場するのですが、今3作目では冒頭で見事に繋げている。「大人になったら来なさいと言われたから来た」と素直に語る李小龍。詠春拳武館入門断られたかと思い、そそくさと帰って行く。後半には再び登場して、イップ・マンにダンスを教えるというエピソードも・・・
1959年の香港は好景気に沸いていたものの、悪徳不動産屋による地上げが行われてもいるなどと不安定な状況。不動産王フランク(マイク・タイソン)の部下たちは、イップの息子チンが通う小学校の土地を買おうと脅しや放火や実力行使と悪行三昧。何度となく襲い掛かる悪党をイップ・マンと、同じく小学生フォンの父親チョン・ティンチ(マックス・チャン)が協力して返り討ちにする。このチョンはイップと同じ詠春拳の使い手であり、師匠の師匠が同一である、いとこ弟子といったところ。
フランクは警察署長とも繋がっていて、犯罪にはなかなか警察が出動しない。一人気を吐いていたのはポー刑事だけだった。やがて悪行マックスとなり、ついには小学生を数人誘拐して、土地を売らなければこいつらを売り飛ばすぞ!と脅迫してくるのです。たまたまイップとチョンの息子たちも誘拐されたので、もう怒りの方もマックス。そして、この造船所における戦いが凄まじい。相手は100人以上か、勝てるのか?とも思うのだが、カンフーでの100人切りは驚きと興奮、見事な戦いだ。警察が頼りにならない時には新聞記者を使うってところも前作を踏襲している。
その後にはマイク・タイソンとの3分間マッチが待ち受ける。物足りない気もするが、既に新聞記事にもなっており、「3分間耐えたら見逃してやる」という強者の余裕なのかもしれない。こうして一件落着かと思いきや、次はチョンとの戦いだ。チョンは自分の詠春拳が正統派と主張し、香港武術界の掟通りに次々と他流派の師範を倒してゆく。最終的にイップを倒せば武館を開けるのだが・・・その頃、イップの妻ウィンシン(リン・ホン)がガンに侵されていることが判明し、妻との時間を大切にするイップは試合を無視するのだった・・・
“継承”というサブタイトルはもしかして・・・と、良からぬ想像もしてみた。しかし、妻ウィンシンはこっそりチョン宛の挑戦状を送っていたのだ。やはりイップ・マンは戦いあってこそ。人格者としても尊敬に値するが、強いからこそ讃えられたのだろう。泣けること間違いなし!