苦い銭のレビュー・感想・評価
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このドキュメンタリー映像は強烈だ
ワン・ビン監督の作品を初めて観たのだが、並みのドキュメンタリーとは別ジャンルにすべきじゃないかと思うぐらいに別格の強度がある。たとえば、自分の妻に文句を言い続け、手を出す暴力夫。顔を叩く、殴るで収まらなくなり、なんとカメラの前で妻の首を絞め始める。 あるいは、工場の中で酔っぱらって仕事仲間の女性に延々と管を巻いている労働者。ドキュメンタリーのカメラが相当な長期間にわたって入り続け、彼らにとって異物ではなくなったのだろうか。撮影されていることを意識しているとは思いがたい、人々の驚くべき素顔が映像に収められている。100円ショップで売られている中国製品はこうした低賃金労働者によって作られていることを知ると、安いから便利だからと言って買うのもどうなんだろうと考えずにはいられない。
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どこか悲壮感がないのは希望があるから
鑑賞後のトークショーで山田泰司氏の補足が大変参考になった。 まず都市部に住む人と地方に住む人たちで戸籍上分けられてしまったという背景があり 出稼ぎに来ている、いわゆる「農民工」が都心部の建築や産業を支えている状態。 この中に描かれているように 家族と離れ、長時間移動をして少ない賃金でもなぜ頑張っていられるかというと 発展を遂げる都市部を目の前にして 「次は自分たちが豊かになる番だ」という希望があったからだそう。 ただ、現在は「どうやら自分たちまで富は回ってこないのではないか」という不安も出てきつつあるという。 私自身、メーカーに勤めており中国に製造の依頼をしているため とても身近なテーマだった。
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