「ひたすら地味で重かった、ギアとダコタの存在感はさすがの一言でしたが」べネファクター 封印 スペランカーさんの映画レビュー(感想・評価)
ひたすら地味で重かった、ギアとダコタの存在感はさすがの一言でしたが
サスペンス映画だと思って見ていたら、どうも違ったみたいで・・・。
サスペンスフルな雰囲気は醸しつつも、そう言った話では無く、かと言ってハートフルな話と言う訳でも無く、まあ言うなればひたすら地味で重い贖罪と再生の話と言った感じだったでしょうか。
正直リチャード・ギアが演じた主人公フラニーには、いまいち感情移入し難かったので、見ながらちょっとイライラもさせられたのですが、年齢を重ね初老の域まで達した時にもう一回見直したら、また違った感情に至る映画だったかもしれません、いや、初老の域に達しなくても、生きる目的を失い、孤独を感じる状況に陥った時に見てみたら、本作は物凄く共感できる内容に見えるかもしれませんね。
しかしリチャード・ギアも、老人が似合う年頃になってしまったんですねぇ、まあ髭を剃った姿はまだまだ格好良かったですが、髭ボーボーの姿はホント爺ちゃん(苦笑)
でもニヤケ顔は健在で、どこかいけ好かない雰囲気を醸し出すところなんかは、ある意味いつものリチャード・ギアだったでしょうか。
そんなギアによる贖罪と再生の物語、ってまあそれはあんな事故で親友夫妻を亡くしたら、自分を見失い、自暴自棄にもなりますわな。
その事故の原因が物語の重要な要素で、そこからサスペンスフルな展開に発展するのかと思って見ていたら、途中あれ?となってしまったのですが、でもそこはギアの見事な演技力で、これはこれとして見れなくもないヒューマンドラマには仕上がっていた印象だったかなと。
それにしてもフラニーはいけ好かない、ホントいけ好かない男だ。
変に金持ってるからこうなるんだよ、金持ってなかったら一心不乱に働くしかないから逆に気が紛れるもんね、大富豪だから世捨て人のような生活もできるし、必死に生きる必要も無いから生きる意味を見失うんだよ・・・と、ひがみたくもなる映画でした。
ってまあそれ言ってしまえばお終いなのですが、でもそんな彼の生きる希望と言える親友夫妻の一人娘・オリビアが5年ぶりに結婚を機に地元に帰ってきた際のフラニーの生き生きとした顔を見たら、見ているこっちも何だか嬉しくなってしまいました、しかも演じたのがダコタ・ファニングだっただけに、妙に説得力がありましたね、ダコタも妊婦役を演じる年頃になりましたかぁ~。
しかし彼の悪い癖は、何にでも依存してしまうこと・・・親友夫妻、そしてその娘夫妻、プラス・・・アレと。
あ、そう言う映画ね、と・・・ちょっと辟易してしまったのが正直なところなのですが、ギアのいけ好かない演技がうまいので、イライラさせられながらも、何だかんだで見入ってしまった映画ではありました。
俺は富豪だ、とばかりに金ですべて解決したがるところも、本当にイライラ、オリビアの旦那の気持ちが手に取るように伝わってきました・・・でも、金で買えないものもあるんだよね、世の中には。
結末はどうなんでしょうね、ちょっと都合良すぎな気もしましたけど、重い話だっただけに、まあこれはこれで・・・。