ハローグッバイのレビュー・感想・評価
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【”私、独りぼっちだから・・。”という想いを抱える2人の女子高生と、認知症気味のおばあさんのヒューマンドラマ。人間性の温かさがじわりと心に響く作品である。】
■高校2年生の夏。
クラスでも目立つ存在のはづき(萩原みのり)と、いつもひとりぼっちの優等生・葵(久保田紗友)。
そんなふたりには、それぞれ誰にも言えない秘密があった。
ある日の学校帰り、葵はひょんなことからはづきと2人で、道に迷った認知症のおばあさん(もたいまさこ)を家に送り届けることに…。
◆感想<Caution! 内容に触れています。>
1.誰にも言えない秘密
・葵
父が海外赴任で、母は医者。何時も一人。学校でも友達はいない。鬱屈した想いを万引きで解消している。
・はづき
学校では、友人が多いが表面上の付き合い。依然付き合っていた男子学生の子を身籠ったと思っている。
・認知症のおばあさん
女学生時代、好きな男性コージローがいたが、時代的に親友だった女性とコージローは結婚。彼に宛てた手紙を大切に持っている。そして、”とても、大切な曲”をいつも口ずさんでいる。
2.物語構成の妙
・葵とはづきは、認知症のおばあさんを、見かけ家に届ける事に。更に二人はお互いの秘密を知る。
- 葵とはづきが、心の優しい少女であることが分かる。
・おばあさんの家を訪ねるも、おばあさんは二人を覚えていない。だが、葵が”とても、大切な曲”を口ずさむと・・。
・コージローの息子が二人に語った事。それは、コージローはおばあさん、若きエツコの為に曲を作っていた事。
・おばあさんに何時もキツク当たっていた嫁、サキ(渡辺真起子)の事を”本当は、人見知りする優しい子なの・・。仲良くしてあげてね。”と葵とはづきに告げるシーン。
<人間性の温かさがじわりと心に響く作品。
今作品の菊池監督は、「体操しようよ」で知った方だが、本作もヒューマニティ溢れる作品である。>
人並みに評価出来るわけではないが…飄々と日常に置きかえられるシナリオに唸る
元々気になっていたものの、配信終了が決まったので駆け込みで視聴。傑作とまでは映らなかったものの、飄々と点を紡いで織りなすシナリオは心地よい。愛される理由が分かる。
萩原みのりにハズレなし、なんてツイッターで聞いたことがある。RISKYや佐々木、イン、マイマインの他、賭けグルイ双などの話題作に出続ける彼女は、どう憑依しても表情と雰囲気作りに長けている。今回はカースト上位の女の子だが心には穴が開いているような役どころ。そんな暇も見せないように繕いながら、スレスレで生きている雰囲気が上手い。一方の久保田紗友もハリのある演技でバランスが良かった。
作品としては少し短め。それでいながら、帰結する所を超えたラストまで描いていて、飄々と見せているのが凄い。この心地よさは睡魔を誘うのだが、起きたことが自然に感じられるようなスマートさがある。それはきっと、もたいまさこの卓越した佇まいあってこそだとは思う。今生きることは過去にどう写るか、なんて考えない。でも、それが不思議と分岐や大事な地点になっていたりする。そんなことをふと考えた。
実に邦画らしい、静を生かした優しい映画。駆け込みした甲斐があった。細やかに息づく空気が今は恋しいばかりだ。
ちょっと長い
60分が丁度いい話なのではないかと思う。
女子高生の話なのだがカメラは彼女達の青春とは冷徹なほど距離を保ち、人間の本音と建前を浮かび上がらせる事に終始している。自分から見ると、まだ本当の社会を知らない年頃の人達相手に冷徹すぎるのではないかという気がしてしまう。スクールカーストの中にある権力関係を丁寧に拾い上げていると言うこともできるが、撮影の形式がサクッと済む説明描写を長引かせているとも言える。
客観的さ、長さを退屈に感じてしまうので、美少女である委員長がただ委員長であるという理由で疎んじられているこの学校という世界観にすら疑いが湧いてくる。
委員長の万引きがハヅキにバレるシーン、演出が違うんじゃないかという気がする。ハヅキの妊娠が勘違いだった事で委員長がハヅキを慰めるのが唐突で、あそこまで喧嘩しておいて?と見えた。基本的に委員長はいい子である前提にしても。
また、ハヅキが女子トイレで自分の噂を聞いて、友達を食堂に誘ってというくだりも、そんなめんどくさい友達関係なんなら本当に妊娠してたってウソついて騙してやるくらいしてやってもいいじゃんと思った。その後、ラインのやり取りからモノローグの嵐が立ち上がってきて友達地獄が表現されて、委員長のもとに行くというのはあまりに説明的で、説明でしかない。高校生くらいの観客にはウケるだろうけど、そこで狙うなら最初からこの撮り方しなきゃいいような気も。友情の芽生えがあったときにハヅキの行動が変わってきてという飛躍が生まれてほしい。ぼっちとの友情を小さなピカレスクとして表現することもできたと思う。
案の定というか、老いも若きも友情がテーマの話なのに結局2人の友情はどうなるのか分からないラストなのだけど、ハヅキが委員長のために自分も万引きで捕まるくらいの青春感が欲しいと期待してしまった。たかだか万引きで学校中の槍玉にあげられる委員長アオイが可哀想である。
心に響かない
好評コメントが多いですが、
私はそうじゃなかったなぁ。
今どきの女子高生。
認知症のおばあさん。
あるきっかけで知り合いドラマが始まる。
まぁ、現代社会を見事に反映した
演出ではあるんだが、それ以上それ以下でもない。
別に想定外の結末を期待はしないが、
何か明確に問いかける見せ方は
無かったのかと考えさせられた。
若手女優2人のこれからの活躍に
期待です。
若い人
キネマイクスピアリにて鑑賞。シネマイクスピアリさん、ありがとうございます。
まず、最初のシーン。萩原さん演じるはづきが建物内をこちらに向かって歩いて来ます。この時、後ろの建物外は晴れて明るい。
そして、オープニングの最後、校舎内の階段。暗い下の階から上って、明るい所まで来た時に笑顔を作る。なるのではなくて、作る。
さり気ないんだけど、印象的なオープニングでした。
そして、この後も明るい場所でのシーンは作った表情や上辺の会話が、暗い場所でのシーンは素になる事が多くなっている気がしました。
映画だと日の光って、笑顔を輝かせるのに使われる物だと思っていたけど、輝きのない笑顔に使うのって面白いなと感じました。
ここから感想です。
この映画のテーマと思われる友情からは、ズレている感想かもしれませんが。
高校生の頃って、世界が狭いじゃないですか。それで、外の世界に触れたりすると成長を見せたりする。
この映画の場合、おばあちゃんを通しての外の世界。
何かを成し遂げる喜び、それでも突き付けられる厳しい現実、それらを経験する事で今まで見えなかった物が見えて来る。
そうやって成長する事で、暗い世界や頑張って明るくしていた世界から踏み出す勇気が持てる。
でも、逆に言うと外の世界が見えないと、狭い世界から抜け出す勇気が持ちにくいかな・・・。
苦しんでる若い人には、世界は広い事を頭の片隅に置いておいて欲しいな。
なんて考えちゃいました。
あと、もう一言。
その時は上辺だけに感じる言葉も、時が経つと本当に心配してくれていたんだと気付く事もあるかな。
なんかレビューの後半、映画から離れちゃってる気もするけど、いろいろ考えさせられるのも映画の力なんだと思います。
個人的感想と言うか妄想
ラストにはづきが葵の前を通り過ぎてそのまま校舎を出て学校を出ようとしたのはおそらく妊娠してなかったというのが嘘で病院へ行こうとしていたのだと自分は解釈した。
最初に観た時ははづきの側からしかその事を想像していなかったが2回目はその時の葵の様子に注視してみた。葵ははづきが目の前を通り過ぎた後教室のベランダに出てあのメロディーを口ずさんでいた。それが聴こえたのかどうか二人の現実の距離関係はわからないがはづきはおそらく葵がいるであろう方を振り向き仰ぎ見た。
その事からもしかしたら妊娠が無かったと言われた時に葵は一度その言葉を信じたが、そのあと手紙を渡しに行き名前を呼び合いグッバイするまでの間に妊娠してないと言ったのが嘘ではないかとなんとなく気付いていたのではないかと思った。
何も言わずそのまま教室を後にしたはづきに二人の間にだけに解るあのメロディーで葵は気持ちを伝えていたのではないかと思った。
そしてはづきもあのメロディーが聴こえてきたときに葵は気付いていて無言のメッセージを送ってくれたと思ったのではないかと感じた。
はづきがやるべき事(堕胎か産むのかはわからないが)をやった後には、はづきと葵はハローするんだろうなと思った。というか妄想が過ぎるかな笑
クロス。
自分の精神状態と映画の思いが重なってしまって。
泣いた。
主演2人の女優が魅力的で。
ずーっっっと空気が張り詰めていて、2人の関係がよく伝わった。
何度も出てきたけど、高校の階段がクロスになっていて印象的だった。
いい事も悪い事も、あの階段で気持ちを変えるっていうか、
気持ちをクロスさせている感じがして、いい味でてたなー。
日本映画、大好き。がんばってほしい。
手紙
これは単館で細々やるレベルの映画ではないと思う、というかそれじゃいけない。
主演の子二人の演技が見事だし、何より醸し出すオーラが凄い。
それだけで多くの人に見られるべきだし、この二人はもっと多くの人に見つかるべき。
嫌らしい部分も隠さず、人物描写が非常に上手くて、ストーリーに特段目新しい事は無いが、映画としてもほぼ文句はない。
一つだけ、“思いでの曲”がちょっと悪いダサさというか、妙にこなれたプロっぽい作りの曲なのにめちゃくちゃありきたりで覚えにくい曲だったのが無理があったな。
それ以外は完璧な映画だったと思う。
普通に泣いたし、周りもみんな泣いてたし、「今年見た中でおすすめの映画は?」ってきかれたら一番教えてあげたい映画かも。
89
自然な流れが凄い
良い映画って、俳優が演技をしていると思わせなくて、これからどうなるんだろう?って不思議な感覚を覚える。
同じクラスのはづきと葵。
はづきは元彼の子供ができているかもしれないと悩んでいた。
葵はいつもひとりぼっちの優等生。委員長でお嬢様だが、実は万引きの常習犯だった。
この二人が、ボケて徘徊していたお婆さんの悦子が階段で転んでいるところに出くわした。
はづきと葵は、これがきっかけで、お婆さんの手紙を届けることになる。
悦子が口ずさむ曲を茅野耕介がピアノで弾くシーンは、涙が溢れる。
最近、ラブコメやこれでもかと泣く映画が溢れているけど、二人の同級生の絆をお婆さんと3人で描く自然な映画。
終わり間際に、「安心して、明日から話しかけないから」もうこれで別々だからねと言って別れるが、そこが良い。
まるでバラッドのような映画だった。
横浜の伊勢佐木町のジャック&ベティでしかやってなかったけど、ほんとに観て良かった1本。
時間を感じる
って、染谷将太くんが言ってました。
80分という短い時間の中で何十年という時間を感じることができる作品
本当にそうだと思った
最初はありがちな青春映画だと思っていたけど、全然違いました!後半のシーンは色々な意味で涙を堪えるのが大変でした。
観て良かったと思える作品です
秘かに大事にしたい小品
物凄く好ましい、触れ回るよりはそっと心に仕舞い込みたいタイプの映画。なにも言わず歩いてたり、バスで座っていたりといったシーンが至福のように感じる。画面を揺らし続ける風も心地よい。手紙を渡したあとのくだりは、一種の奇跡のような画と音の連携。
友達ってなんですか?
観終えて、他の選択の中からこの映画を選んで良かったと思った。いや、途中でもうそう思っていた。
ともすれば淡々と進行するストーリーは、ただ目の前にいる高校生の日常を追いかけるような平坦な気分で流してしまいそうになる。しかし注意して眼で追っていれば、彼女たちの心情がとてもよく表情や態度に表れているのに気づく。まるで、思春期の娘をもつ親の気分でいるかのようだ。画質の柔らかさがまたそのいい手助けとなっていた。
また他のキャストの表情も実にいい。渡辺シュンスケの佇まいの誠実さ、渡辺真起子の労りを隠した微笑、もたいまさこの、あえての無表情。キャリアを経てこその名演だ。
おばあちゃんの口ずさむメロディ、渡そうとして渡せないままの手紙、その訳が明らかになる場面では、涙をこらえ切れなかった。おばあちゃん、あなたはその想いだけはボケても忘れることがなかったのですね、と。
そしてなぜか、かつて自分がしてしまった嘘や馴れ合いや無関心が、正体もなく心に蘇ってきて胸が苦しくなった。
友達ってなんですか?、と問う。
いつも一緒に遊んでいること?、LINEで繋がっていること?、同年代?、クラスメイト?、、、全部否定された気分になった。つるんだリしなくても、心が通う相手ならば友達と呼べるんじゃない?、そんなラストがとても美しかった。
繊細で脆くて愛おしい、そんな大事にしておきたい映画だった。
友情と恩讐の彼方
甘酸っぱい小品かな、と思って観に行きましたが、いい意味で裏切られました。しなやかで強い、観応えある素晴らしい作品。
一番印象に残っているのは、おばあちゃんの手紙の真実が明かされるクライマックスの場面です。ラブレターかと思いきや、友情を伝える恩讐を超えた赦しの手紙!ある意味最高のラブレターとも言えます。
シュローダーヘッズのピアノ、もたいまさこの朗読が相まって、本当に特別なシーンでした。深く深く心に刻まれ、震えるほど感動しました。
友情の描写も真を突いているように感じました。
はづきと葵の2人はつるむような友人関係にはならないけれど、その瞬間は確実に友情が存在していました。それは2人にとって確かな手応えがあり、かけがえのない体験になったはず。
特にはづきにとって、妊娠検査後に葵が寄り添ってくれたことは宝物となるでしょう。それが例え一瞬の交錯であっても、遊び仲間とは一線を画した関係です。
また、成長した葵が魅力的。ポニーテールにして自首し、停学後もビシッと登校する葵には誇り高く凛とした美しさがあります。
友情の話なので、はづきと葵の友情の対比として、はづきの友人グループが描かれています。
このようなグループのつきあいは、友人関係というよりも学校生活に適応するための仕事のように見えました。場の空気によって友人的振る舞いを強いられる印象で、義務に近いのでは。義務といってもかなり狭い世界への適応なので空虚なものですが。
SNSの言葉が音声となりはづきを押し潰そうとするシーンは、無意味な仕事をし続けて参ってしまったような印象。葵との友情と友人的グループの対比は、友情の厚さ・薄さではなく、意味の有無・価値の有無を表しているように感じました。
セピアがかった映像と、極上のピアノの旋律。
(テーマ曲『手紙が届けてくれたもの』は、菊次郎の夏のSummer に匹敵する名曲!)
実に品のある美しい傑作でした。主演の2人も美しい。時間も比較的コンパクトで、間延びも感じませんでした。短いけど、無駄がなく映画としてとても洗練されている印象です。
そして、シュローダーヘッズの音楽は以前から聴いていましたが、姿は初めて見ました。あまりにも男前でビックリ。今後も俳優イケますね。
気分とか空気感とか
萩原、久保田の新鮮な二人の演技には今後の興味が湧いた
女子高生の気分とか空気感とかを味わう作品なのだろうか?
ただ抱えてる問題が自分の学生時代の25年前と題材が変わらないのは気になった(今現在の女子高生が抱える問題点がもう少し反映されてるともうちょっと映画自体が面白くなった気がする)
もたいまさこ→認知症のお婆ちゃん
このキャスティングには違和感を覚えた(若すぎという意味で)
期待を込めて
菊地監督の愛は作品にも役者にもある
高校時代に起こる身近じゃなくても
感じとってたことでもある
あるあるのエピソード。
友人とのいざこざや
親子の暖かさもあって
優しさが"いやらしくない"作品で
恥ずかしい過去の自分を思い出せるし
一歩前に出れる素敵な作品でした
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