「人種差別」サーミの血 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
人種差別
サーミ人とは、ノルウェー、スウェーデン、フィンランドの北部とロシアのコラ半島でトナカイを飼い暮らし、フィンランド語に近い独自の言語を持つ先住民族。映画の主な舞台となる1930年代、スウェーデンのサーミ人は他の人種より劣った民族として差別された。(公式HPより)
主人公となる少女エレ・マリャ(レーネ・セシリア・スパルロク)は寄宿学校で優秀な成績をおさめていた。学校ではサーミ語を使わずにスウェーデン語を使わなければならないが、言葉も両方流暢に使いこなしている。帰り道では白人の青年たちから差別的な言葉を投げられ、いつも悔しい思いをするのです。そんな彼女も進学を希望するが、優しい先生から厳しい言葉が発せられる。「サーミ人の脳では文明に適応できない」と。
ある日、エレはスウェーデン人になりすまして忍び込んだ夏祭りで、クリスティーナと名乗り、都会的な青年ニクラスと出会い恋に落ちる。彼を頼ってウプサラという街に出たエレは彼の家に強引に泊まる。ニクラスの母親は「あの子ラップ人でしょ?」と言われ、長居もできなくなってしまう。そんなエレが学校の図書館に入り、本を読んでいると高校の教師から誘われたのだ。これでスウェーデン人に溶け込める・・・と思ったのも束の間、授業料を請求されたのだ。
差別的な扱いを受けても初等教育だけは受けられる。幸か不幸か頭が良かったためにスウェーデン人になりたかったエレの人生。エレには妹ニェンナもいるが、ごく普通の子であったため生涯をサーミ人として過ごし、姉の分までトナカイを育てていたことが告げられる。老婆となったエレがニェンナの葬儀に参列するため故郷に一旦帰るのだが、サーミ人の仲間から逃げた身には辛いものがあった。子どもの頃に白人から受けたイジメとは逆に、逃げたサーミ人として白い目で見られてしまうのだ。
イジメを受けるシーンになぜだか臨場感があり、教師から決定的な言葉を投げかけられたときのショックも手に取るように伝わってきました。なんとかスウェーデン人に溶け込めるようにと祈りながらの鑑賞。しかし、波乱万丈の人生だったろうなぁ・・・