「文明の発展の影で破壊されているもの」サーミの血 tさんの映画レビュー(感想・評価)
文明の発展の影で破壊されているもの
スウェーデンと言うと、幸福度ランキング上位の常連、かつ、高学歴インテリの多い国として有名であるが、こんな歴史があったのか、初めて知った。
1930年代。民族によって知能の優劣があるということが本当に信じられていた。約100年前の話だ。信じられないが、事実だ。多くの現代日本人は、宗教や思想・哲学の類を下らないと思っているみたいであるが、高度な文明社会・科学も同じぐらい下らないものであることを自覚すべきである。
民族文化の存在意義とは何か?という視点で、この映画は結構身につまされるところがあった。
巨大な都市文明が急速に発展すると、伝統的な少数民族の文化や故郷は壊されちゃう。これは近代以降の人間社会の悲しい宿命だ。
劇中、主人公の少女は都市文明に適用して裕福に生きられている(優秀!)ように撮られているのと同時に、帰る故郷が存在しない(or帰れない)辛さも描かれている。
僕は少数民族ではないが、この辛さは結構わかる。僕の世代は祖母や祖父から昭和時代の伝統的な文化の名残りを享受していたのだが、ここ数十年(?)で、それが本当に無くなってしまった。ある意味、故郷が無くなってしまったと言える。
だから我々でも、他の民族の文化を簡単に壊しちゃダメ、ということは理解できるはず。
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