「鬼頭龍らーめん」羊の木 damoさんの映画レビュー(感想・評価)
鬼頭龍らーめん
松田龍平が超いい。こちらの言葉のまったく通じない目をしてる。
邪魔なものは殺すという方法しか知らない。だけど月末のことは殺せなかった。なんとなく。
こんな自分が生きてるのってほんとおかしいと思ってるから月末と一緒に飛び込んで、自分は間違ってるって確認したかったんだと思う。
でもそこにセンチメンタルな感傷は特にない。
っていう松田龍平、さいこーだった!
そして父の病室で太田には反射的にあんな嫌悪感を持つわりに、宮腰にノーリアクションな月末。
わたしは月末が逆に怖い。「友達として?」って聞かれて「友達としてだよ」って答えたのが本当ならば、ラスト「友達なんじゃないの!?」なんて、あんなあげ足をとるようなキレ方で、ぜったい言わないと思う。
異物という弱者に対するあの視線含め<普通の人>、として計算づくの月末像ならばますます怖い。
、という楽しみ方をしたわたしとしては、月末がただの狂言回しのはずもなく、もっと味わいが深くなるような視線とか表情をあとふたつくらいサービスしてもらえたらもっと興奮した。バンドシーンは中途半端だった。せめてドラマーにもっと地方感的可笑しみや哀しみがあったならば!
宮腰だけでじゅうぶん分厚い物語になりそうなのに、それをそうせず、6人の殺人犯に流れる日々を淡々と見つめるという抑制の徹底には自信を感じるし、
そのさきに用意されたラスト、
暗闇の中、飛び込む2人があまりに美しくて、全てから解放されたただの2つの生命で、そこには祈りや願いが満ちていて、胸が熱くなった。
超気持ちよかった。
あ、宮腰!って夢中MAX、そしたらどどどっかーんばっしゃーんってのろろが落下するから笑った。
その目をいくら見つめたってなんの答えもないけれど、見つめても見つめても飽きないし気づけばどんどんこっちに言葉があふれてくる!っていう地力ある作品は好きです。