劇場公開日 2017年3月4日

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「この街にダークナイトは居ない」アシュラ 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5この街にダークナイトは居ない

2017年7月29日
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鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

怖い

興奮

今年の3月に立て続けに公開された韓国3大サスペンスの一本。レンタルを待っていた!

芸術的変態ムービーの「お嬢さん」、常人の理解を超えた衝撃作「哭声 コクソン」。
こちらは、これぞ韓国サスペンス!とでも言うべき傑作ノワール!

舞台は、架空の街、アンナム。
まるでゴッサムかシン・シティか、犯罪と陰謀が日々蔓延る。
声高らかに街に尽くすと宣言する市長のパク・ソンベ。
が、諸悪の根源は、コイツ。
自分の利権の為ならあらゆる犯罪に手を染める極悪市長。独裁者のように街に君臨。
市長の犯罪を隠蔽し、手となり足となる“犬”がいる。刑事のドギョン。
自分が汚職まみれのクソッタレなのはヘドが出るほど知ってるが、末期ガンの妻の治療費の為に加担するしかなかった。
そんな彼に接触してきたのが、検事のキム。
真っ当な法の番人かと思いきや、正義の為なら法をも犯す悪徳検事…。

刑事vs市長vs検事。
…いや、もっと詳しく言うと、
汚職刑事vs極悪市長vs悪徳検事。
「アウトレイジ」も真っ青、揃いも揃ってロクデナシの悪人。
3人の思惑が交錯、生き残りを懸けた仁義なき攻防…!

全編張り詰めた緊迫感。
それが一切緩まない、ヤクでもやったかのような興奮の展開。
所々ブラックなユーモアも。
アクション、バイオレンスの凄みはさすが、これぞ韓国サスペンス!
中盤、豪雨の中のカーチェイスはそのスピーディーさもさることながら、カメラワークにも圧巻。
そして、3者がぶつかり合う血の海と阿鼻叫喚の斎場でのクライマックスは壮絶…!

キム検事にある弱みを握られ、市長の犯罪の証拠を掴むよう強要されたドギョン。
市長の悪事にうんざりしているものの、妻の事で市長を裏切れないドギョン。
市長か、検事か、それとも自分か。
彼が取った奇策は…!

まず、市長役のファン・ジョンミンが、“THE悪役ショー!”とでも言うべき圧倒的存在感。
ここまでの腐れ外道っぷりは見てて清々しいと言うか、もはや意気高揚。表面上はいつもにこやかで愛敬もたっぷり、かと思えば狂犬に豹変。下半身丸出しのシーンは彼のクレイジーさを物語る、怪演!
ジョンミンも出てた「哭声」で主演だったクァク・ドウォンが、「哭声」とは180度違う役回り。あちらでは人間味たっぷりの役柄だったが、こちらでは悪役検事役でふてぶてしさ満点!
主人公は、汚職刑事役のチョン・ウソン。
何度もボコボコに殴られ、血塗れ、ガラスのコップを噛み砕き…。
まだ少なからず正義の心はあるのか、市長と検事の板挟みで憔悴する極限状態の彼の存在が作品を素晴らしく面白くしている。

大抵こういう作品の場合、一人くらい自分の心の奥底の正義に目覚めるものだが、本作には“ダークナイト”は居ない。
地獄のような街、ロクデナシども、クソッタレな生きざま…。
その末路は、主人公の言葉を借りれば、

「こうなる事は分かっていた」

「お嬢さん」「哭声」に続いて、本作もまた本年度BEST級なのはまず間違いないが、困った事がただ一つ。
3本の中でどれが一番面白かったかと問われたら、大問題!
どれも甲乙付け難い!

近大
クリストフさんのコメント
2020年6月12日

今作はカーチェイスが凄い❗️
360度映像とか、体当たりしたまま走るシーンとか。
あまりそーゆー映画観ないから衝撃的でした。

クリストフ
クリストフさんのコメント
2020年6月11日

自分は「お嬢さん」推しです。

クリストフ