「月川監督の悪意に感服」君の膵臓をたべたい(2017) 疾走チェイサーさんの映画レビュー(感想・評価)
月川監督の悪意に感服
『泣ける映画』のキャッチコピーを聞いた瞬間、ろくなもんじゃねぇと思って映画館に長渕キック!
というわけで、感動タイマン勝負。泣かせるもんなら、やってみやがれ!
結果、僕の判定負け。泣きかけました。
冒頭、流行りの胸キュン攻撃に頭を抱えました。さらに学生の演技もションベンくせ~。泣ける気しねーわ!
しかし、彼女の書いた『共病文庫』を読むシーンでまんまとやられた。
拳がアゴをかすめて、まさかのダウン。
そして俺は気付いてしまった。
これってまんまと監督の手のひらの上で感情を転がされてたんじゃない?
もうこの映画自体が胸キュン映画に対する皮肉が込められてたのでは?
そう、現在パートの中学生日記みてーな演技・感動の押し売りセール的なキャスト陣。全てに監督の悪意が隠されていたのだ!
「胸キュンさせてやんぜ」のシーンはすげーグイグイくるんだけど、ガードの上からで威力は見ての通り、スカスカ。
でも、ガードが下がった(観客が構えてない)時に重い一発を入れてくる。
そういう感動タイマンお客さん相手のことも考えて作られているんだ。
月川監督はすっげー柔軟性のあるキレる人だと思った。
例えば、ガチでイタイ監督や、雇われ感丸出しの名前だけの監督が撮った実写作品は酷評が過半数だ。そこに悪意がないから。
真面目に悪意があるからこそ、真剣に人を泣かせることが出来るし、マウンティングを取れる。
月川監督は胸キュンを総合格闘技化させてる。これはズルい!
俺の妄想?いやいや、でなければ俺が泣きかけたことが納得出来ない!
監督の膵臓がたべたい。ポン酢で。
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