人生フルーツのレビュー・感想・評価
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老いるほど豊かに実る生き方。“団地映画”の要素も
団地の一角、雑木林と菜園に囲まれた平屋。一見ちぐはぐな取り合わせのように思えるが、この配置には深い意味と歴史がある。
平屋の家主は、ここ名古屋近郊のニュータウンの計画に関わった建築家と、その妻。NT開発では理想がかなわず失われてしまった「里山のある暮らし」を取り戻そうと、建築家は土地を買い家を建てた。妻は多種多様な野菜と果物を手塩にかけて育て(作業は夫も本格的に手伝う)、手間を惜しまず丁寧に料理を作る。
90歳と87歳。老夫婦の素朴な人柄と、お互いを気づかいほぼ自給自足の生活を楽しむ姿が、ほほえましくうらやましい。さらに、自分の老後を思わずにいられない。こんなに豊かで実りある暮らしが果たしてできるのか、と。
昨年は「桜の樹の下」という、団地の独居老人たちを追った傑作ドキュメンタリーがあった。本作も、少し変わった切り口の団地映画として、滋味豊かな気づきと学びをもたらしてくれる。
こつこつゆっくりと
約7年前映画祭で鑑賞した。その時、とても感銘を受けたので、テレビで放映されると分かり、2回目の鑑賞。
生活全てにセンスが感じられる。自ら設計したこだわりの詰まった平屋のお家。
手間暇かけた手作りの丁寧な暮らし方。
皇室のような佇まいで、庶民とは位が違う感じがした。
とても真似はできないが、この映画を見て、素敵な映画だと共感してくれる男性と結婚したかったなあ(時すでに遅し)。
出てくるプリンやフルーツたっぷりのケーキ、どれも美味しそう。
修一さんは、戦時中戦闘機の設計をしていた。そして戦後、時代は高度経済成長期。多くの大規模集合住宅の設計に携わったが、完成したものは、自分の理想とはかけ離れた画一的な作りのものだった。そんなつらい経験をした後で、自分の理想を求めて、今の家を建て、スローライフの暮らしにたどりついた。英子さんも大変聡明な方だが、ご苦労もいろいろとあったことでしょう。
二人の死後あの家はどうなったのか気になる。管理が大変そうだし、古い家だから、手放すのも選択肢としてありだと思う。
色々考えさせられるドキュメント
CSで録画視聴。
建築家の老夫婦を通じて本当の豊かさとは何か考えさせられた。
テーマも現在進行形。今でも十分問題ないテーマだ。
人生について色々思いながらこの作品を観た。
観たかったドキュメントなので観て良かった。
わがままな暮らし
金属スプーン1本使わないおじいちゃんのストイックぶりにちょっとたじろいだ。
コツコツ暮らしていくっていうのが、物凄い誠実なサラリーマン的堅実なライフスタイルで、ゆうちょ銀行かよっていう。とっても真面目で、すきがなくて、ちょっと窮屈であり退屈じゃないかこれと意地悪な目線みてしまった。
スローライフとかていねいな暮らしって、ここまでくるとライフスタイルエリートのきわみで、鶴太郎みたいにストイックになるんだなと。でも1ついいなと思ったシーンがあった。仕事か取材か何かの依頼を電話で受けて、「私はもう90歳ですから、自分の時間を大切にしたいとおもいます」と辞退申し上げているシーン。何かを選ぶということは、何かを選ばないということを切り取った断面図でしたね。
きっかけはもう
忘れてしまった。確か、土を育てて作物を育む。と言うようなことを熱く語った時にふと母が勧めて来た映画だったかと思う。まさかそこから目の前で上演終了後、プロデューサーが本作を撮ってのトークをしている場に僕が居るなんて(^^)人生・出逢いとは何とも不思議なものであるwこれから僕が取り組もうと思っているものごとの素晴らしい指針と判断基準を得られた◎感謝いっぱい人生フルーツ🥭
現代版おとぎ話
このご夫婦の暮らしと人柄を観ていると、おとぎ話を観ている感覚に陥ってしまいました。昔からずっと続いてきた当たり前の生活、自然に合わせて手作りをする、感謝する、人との繋がりを大切にする、そんな事ですらおとぎ話に見えてしまうほど大切なことから私自身離れてしまったのかとショックを受けてしまいました。
大切なことはそう多くはない。荷物を持ちすぎて疲れてしまった日本人へのメッセージの様にとれました。
【ある老夫婦の豊饒な日常を描いたドキュメンタリーの傑作】
- 設計士として名古屋近郊の高蔵寺ニュータウンの設計の中心だった方が、そのニュータウンの中に建てた自宅をベースに夫婦で5割程度(観た感じである)自給自足で暮らす姿を捉えたドキュメンタリー。-
・自らが構想した理想通りにニュータウンは出来ず、ある信念の下その街に自宅を構えた夫婦の豊饒な日常を描いている。
・それにしても、東海テレビのドキュメンタリーのレベルの高さは知っていた積りだが、どうすればあのような崇高な画を撮ることを許されたのか。
・製作陣の熱意と努力に脱帽である。
<近年のドキュメンタリー作品の中では、特筆に値する傑作である。>
<2017年2月18日 劇場にて鑑賞>
つっぱることが人生の勲章
名古屋郊外の高蔵寺ニュータウンのことは、学校の地図帳や資料集に載っていたことを記憶している。そのニュータウンのグランドデザインに携わり、自らもその町に住み続けている建築家とその奥様の姿を追うドキュメンタリーである。
建築家が当初思い描いたコンセプトとはかけ離れた姿になって出来上がったニュータウンに彼はなぜ住み続けるのか。そこにあるのは社会への強い抵抗と拒絶である。
映画は表面上、ご夫婦のロハスな生活が映し出される。もちろん、彼らは「ロハス」を求めているわけでも「スローライフ」を楽しんでいるわけでもない。他の選択肢などあり得ない強い決意がそこにはあるのだ。
建築家は若い頃、高座海軍工廠で台湾から来た少年工たちと働いていた過去がある。たまたまこの正月、台湾の小説「自転車泥棒」を読み少年工の話を知る機会があったので、歴史的な視点から彼の人生を見つめることができた。
また、仲の良かった少年工の消息が分かり、墓参りをするところは、台湾映画「スーパーシチズン 超級大国民」の主人公の姿と重ねずにはいられない。
戦争や都市計画で裏切られ続けてきたこの建築家とその奥様の生き方を、安易に賞賛したり憧れることを、我々は慎まねばならない。
光と風が通らない町で子供を育て、添加物が大量に入った食品を家族に食べさせている者に対する、強烈なプロテストが彼らの生き方なのだ。
大量に物質と自然を消費することで保障される便利な生活に背を向け、長い時間と手間をかけて自然を育てるご夫婦の人生を観て、居心地の悪さを感じないとしたら、自らの姿が見えてなさすぎるのだ。あの家にTVなどなかったことに気付いているだろうか。下らないメディアに費やす時間など彼らにはないのだ。
映画を観ている間ずっと、親に小言を言われているような気持ちだった。
ご夫妻の人生の覚悟の強さに、なんとか少しでも近づいていきたい。
共存
樹木希林さんのナレーションでゆっくりと映画は進みま
ゆっくりゆっくり 少しずつ少しずつ 田畑を耕し果物を作るように
観ている私も映画の中に入り込み
土を感じ 風を感じ 修一さんの作った家と英子さんの御飯やお菓子に舌鼓をうち
笑い 泣き 優しさをもらう
映画から受けた感動はたくさんあったのにどうしても言葉にできないこともあるのですね
もしも誰かがこのレビューを見てくれるのならこの映画はレンタルでもいいので観てほしいです
人が生きる上で必要なものはそんなにはいらない、少しの畑と少しのお金があれば
人生はとても豊かになるのだと思います。
以前から老後は土を触り自然を感じながら生活したいと思うようになり田舎暮らしに憧れるようになったのですがこの作品を見て思うのは
住宅街でも似たような生活は出来るのだとそう感じるようになりました
選択肢が格段に増えて嬉しさもあるのですが困ってもいます
何でってマトが一気に広がっちゃったからね〜
でも夢は大きくなり時間をかけて夢を育てたくなりました
何だかとても楽しみです。
生き方
すごく良かった。
生き方自分の人生の見直し。
どう生きるべきか、生きてきたか。
人生は長いようで短い。
短いようで長い。
初めてのドキュメント。
いい意味で思っていたストーリー展開とは違った。
パンフレットを久しぶりに買うくらい良かった。
常はない。でも時々修復してもいいよね。
小鳥さん。
アントニン・レーモンドの系譜
都会での生活がどこか好きになれなくて去った。
田舎で仕事をさがして、古き家を改築し太い柱を見上げ、草刈り機で夏に草を刈る生活になった。
幸いに、果樹が何本か植えられた土地もついている。
一時期、なん苗もの花を買い植えた。
イングリッシュガーデンがすきで、英国のバラを取り寄せて作ったこともあった。
建築家のアントニン・レーモンドを知ったのは、そのころだったと思う。
軽井沢の夏の家が有名。ぼくが見たのは六角形のホールみたいなスタジオの設計。
いい家だなと思った。でも、どこへ行ったら見られるのか知らない(笑)
いまは、放ったらかし。そんな草地を週末ひとまわり歩くのが、息をするようなたのしみのひとつになっている。
密をさしに蜂がたくさんやってくる木の下に早春に福寿草の花がたくさん咲くのが、冬の終えた土地に住む楽しみになった。
いまは会社が忙しい。いつかぼくが会社を退職したら彼らの雑木林の生活をしたいと思っている。
幸い、畑の広さもあるし広い家もある。
それに自慢の不満の多い妻もいる(笑)
やすらかに。
穏やかな時の流れの中で、人生を実らせていくこと
前情報なく鑑賞。
穏やかに、じっくりと人生を深めていく中で、
静かに実っていく。
歳を重ねることの尊さ、美しさを感じることができた。
高齢化の中で、希望を与えてくれる作品。
最初から最後まで号泣
旦那さまを呼ぶとき お父さん、おじいちゃん、しゅうさん(しゅうたん、とも聞こえた)と色々な呼び方をしていて2人の長い人生の歩みを感じました。
「風が吹けば、枯葉が落ちる。枯葉が落ちれば、土が肥える。土が肥えれば、果実が実る。こつこつ、ゆっくり。人生フルーツ」
「自分1人でやれることを見つけてそれをコツコツやれば、時間はかかるけれども何か見えてくるから、とにかく自分でやること」
親や周りから早く、早くといつも急かされてきた私にとって心に染みる映画でした。
Life is fruit ♡
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