「人生、フルーツ。」人生フルーツ 幸せなひまつぶしさんの映画レビュー(感想・評価)
人生、フルーツ。
自家菜園で野菜や果物を育て、なるべく自分たちでコツコツ作ったものを食べ、扱っていく、自給自足の生活をする老夫婦に寄り添うドキュメンタリー。
言うなれば、年老いた2人の生活を眺めているだけなはずなのに、そこにあたたかな何かが流れているのを感じて、2人のやり取りに思わず微笑んでしまったり、涙ぐんでしまったり。。
いわゆる脚本により作り込まれた世界にも感動するけれど、人の人生とそこでの生き方、そこに至るまでの背景に、ほんの少しだけど触れることができて、なんだか本当に、優しい、そして切ない気持ちになった。
昔は建築家として活躍されていた修一さん。
自分が目指すものと、実際に求められているもののズレが生じた時に、彼が何をどう思ったか。
多くは語られないのだけど、それが彼の生き方を貫いているのだろうか、と思うと、そこにも心動かされる。
また、「少しでもお父さんにいいものを、少しでもお父さんにいいように」と日々手作りの料理や家事にいそしむ英子さん。
私は彼女ほどなんでも手作りで、旦那においしく健康なものを常に食べさせられているかというとそうではないし、仕事でちょっと遅くなればすぐ手を抜いてお惣菜に頼ったりするし、彼女のようには恐らくできないけれど、でも、彼女の精神を、ほんの少しでも持てるようにしたいと、切に思った。
彼がやりたいということはやらせてあげる。
どうすればそれを一緒にできるかに思いを馳せる英子さん。。
頭が下がる思いだ。
本当に、淡々と過ぎていく日常を見る映像なのだけど、自分の、いわゆる「経済至上主義」の世の中にそこそこ揉まれたこれまではこれまでとして、これから生きて行く時に、急がず、ゆっくり、コツコツと、時を重ねていけばいいじゃないか、ということを、改めて考えさせてくれた1時間でした。
少なくとも、今日の夕飯にはいつもより手をかけよう…笑