「「3つの実話と寓話を散りばめた」とテロップが流れるものの、どこまでが実話なのかなんて結局わからなかった(汗)。」オン・ザ・ミルキー・ロード kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
「3つの実話と寓話を散りばめた」とテロップが流れるものの、どこまでが実話なのかなんて結局わからなかった(汗)。
父親が斬首され、頭がおかしくなったと言われていたミルク配達人のコスタ(クストリッツァ)は黒い傘を差し、ロバに跨り、戦場を往復する。元は音楽教師でツィンバロムという鍵盤打楽器を演奏するのだが、この音楽がとても良かった。休戦を喜び、一時の宴会を楽しむ村人たちの間では元は新体操選手だったミレナが人気者。そのミレナはコスタに処女を奪われたと思い込んで一途に恋しているといった設定だ。ミレナはまた、パルチザンの英雄でもある兄ジャガのために難民区域から花嫁(モニカ・ベルッチ)を拉致させるのだった。
戦争を楽しんでるともとれる村人たち。鶏、ガチョウ、ヤギ、ハヤブサ、蛇、と動物の存在が映画の雰囲気を彩り、序盤には壊れた大時計が印象的。戦争そのものが日常の喧噪の象徴なのか、終戦を迎えたときにはコスタの心の中でも恋愛が大きくなったくる。普通ならば若いスロボダ・ミチャロビッチ演ずるミレナを選ぶだろうに、耳モゲを治してくれたことをきっかけに、危険な女モニカ・ベルッチに惚れてしまうコスタ。戦争は終わったはずなのに、その花嫁を奪還するために多国籍軍の精鋭部隊がやってきて、村人たちを虐殺してしまう。
後半はその3人の精鋭部隊からコスタと花嫁の逃避行が描かれていて、雑然としていたコメディタッチの村から一変、大自然の中の冒険となる。虐殺シーンはシリアスながらも、コスタの妄想みたいに感じられるし、すべてが愛のために霞んで見えてしまうほど。山岳地帯のヤギの群れの場面はシリアスで、いまだ地雷が残っている危険地帯でもあり、そこで花嫁も亡くしてしまう。
ラストには地雷現場を石をもって埋め尽くす俯瞰図。まるで花嫁に天国から見守られてるかのように、コスタの深い愛を感じるところ。蛇やハヤブサにも守られてはいたけど、自然が常にコスタの運命を操っていたのかな~とも感じました。
【2017年11月映画館にて】
返信共感ありがとうございます。
正直申し上げて
今回の災害でお便り差し上げて良いか悩んでいました。返信頂き、ご無事だったと理解しております。平穏無事な日が戻る事を心より願っております。頑張って下さい。では。あっ、今年もよろしくお願いします。