「運命では無く意志をもって」メッセージ myshaさんの映画レビュー(感想・評価)
運命では無く意志をもって
抑制の効いた映像がとても美しく台詞も無駄が無く、ノイズレスで物語に浸れる。
アボットは辛い未来を知りながら地球へ旅をした。
ヘプタポッドたちと交流し言葉を解析する中、ルイーズはイアンに「彼らの言語で夢を見る?」と問われ、「思考が言語によって影響を受けるという仮説は知っている。幾度か彼らの言語で夢を見た。しかし仕事に影響は無い」と答える。
ヘプタポッドの言語は、短文では平面に近い円環状の意匠のようにも見えるが、イアンは多数のパーツで構成される複雑な構文を3Dモデルで解析し意を読み取った(完全に理解するためには4D思考が必要なのかもしれないけれども、とにかく推理する)
ルイーズはヘプタポッドたちとの最後の交流で自分が持つ“武器”が何であるのかを理解する。
そして彼らが去った後、ルイーズもまた悲しみが待つと知る未来へ歩を進める決意をする(イアンには同情する。彼は知らなかったのだから。)
疑問:ルイーズはシャン上将への架電の事実もその内容も記憶していなかった。どうして?
映画では時点の異なる出来事を垣間見る瞬間が幾度も描かれている。知らなかった何かを知って影響を受けないはずはない。
もしかしたら未来も過去も既定ではなく、ウロボロスサークルのような無限ループでもなく、互いに干渉し合いながら変化してゆくものなのかもしれない。
過去も未来も数多くありそこへ至る経路もまた無数にあるのなら、深く考え意志的にプロセスを進む事で最善の結果に到達することができるのかもしれない。
・だけどなんで you wanna make a beby? を「赤ちゃんを作ろう」に訳しちゃったんですか。これは主題への小さな裏切りだよなっ(ぷんすか)
・設定も人柄も原作とはかなり違う。でもそこもまた面白かった(本にも映画にもまんぞく。)