「人は理屈よりも感情を優先する」メッセージ 根岸 圭一さんの映画レビュー(感想・評価)
人は理屈よりも感情を優先する
地球外生命体のヘプタポッドは、人類とは見た目も生態も全てが異なる。その点で普通の言語を解読するよりも難しく、主人公の言語学者ルイーズがどのように解読していくかが見どころ。今作の製作に関わった言語学者によると、実際にヘプタポッドのような地球外生命体と意思疎通を図ろうと思った場合、ルイーズと同じような行動を取ることになるらしい。
ヘプタポッドに対して、特に中国は敵対的な反応を示し、彼らの言葉もネガティブな方向に解釈する。この反応は、彼らの言葉を正確に分析した結果ネガティブに受け止めたからではなく、元々ヘプタポッドに対する悪感情がベースにあったことに起因する。そしてそこに当てはまる解釈を探した結果に思える。結局人は理屈よりも感情を優先するものだと、中国の反応を見ていると思う。
ストーリーは、ルイーズの存在しない娘の記憶の伏線回収が見事な構成になっている。なぜ記憶の中で夫の姿が見えないのか、記憶のコントロールはどうやって行うのか、もし記憶と異なる選択をした場合どうなるかなど、疑問点はいくつか残ったものの、面白い映画だった。
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