劇場公開日 2017年5月19日

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「メッセージは「時間」そのもの」メッセージ N.riverさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0メッセージは「時間」そのもの

2021年10月26日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

原作は未読である。

エイリアンと人類の間では「言語」の本質が異なっている。
というスタート地点が興味深い。
ゆえに理屈(時系列を追って)で理解し合うことは不可能だが、
それでも分かり合う、という展開が興味深かった。
その過程で主人公が体得する能力も、時間を飛び越えるだけに、
タイトルにもあるメッセージ、その内容は「時間」そのものだったのだと感じている。
そして「時間」を言語にかえて思考を始めたなら人間は、
何を選び、どう自身を、文明を、構築してゆくのか。
冒頭の、言語は思考であり、文明や人だ、へ立ち返って考えなおしたなら、
これぞSF、と思しき大作だった。

言語がいつももどかしいのは、常に時系列を無視できないところにあるのは、わたしだけか。
もっと包括的な、閃きのように一瞬にしてすべてがかみ合う瞬間、感覚というのは確かにあって、しかしこの一瞬をほどいて時系列で説明することは、本質を損ないやすくとても難しい。
未来において、主人公が過去を教わるシーンがあるように、
原作の発想がもしそこから生まれたのだとすれば、
ビルヌーブ監督の説明臭くない、感覚的な作風とよくマッチしていたのではと感じている。

それにしても主人公が夫と別れた理由について明かされるシーンがあったが、
つまりエイリアンは人類を助けるため、そのことを告げに来たはずだ。
だが最大の災難はほぼ作中で触れぬまま終わっており、
これまた想像を掻き立てられる憎い締めくくりだと思ってもいる。

N.river