劇場公開日 2017年5月19日

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「魅せる作品だが設定に矛盾は無いのだろうか?」メッセージ KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0魅せる作品だが設定に矛盾は無いのだろうか?

2021年2月12日
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鑑賞方法:TV地上波

2回目の鑑賞だったので、
時間のトリックへの驚きは無かったが、
今度は何か「いま、会いにゆきます」に
似ているな、と思いながら観た。

辛い運命と知りながらもその未来を選択する
というのは、「いま…」と同じ設定だ。
「メッセージ」の原作の方が古いので、
市川拓司はこの本からヒントを得て
「いま…」を執筆したのかもしれないと
勝手に想像した。

ただ、
「メッセージ」の死ぬ運命にあるのは
自分の子供であるのに対して、
「いま…」の場合は自分自身という
基本的な設定が異なる中、
「メッセージ」の原作では、
どのように表現されているか分からないが、
映画同士の比較では、
出産することになっている子供に会いたい、
一時的でも生活を共にしたい、
との気持ちを重層的に表現出来ている分
(「メッセージ」の方はSF要素のストーリー
展開に時間を割かざるを得ないためか、
その描写へのウエイトが低い感じ)、
「いま…」の方が感動出来た。

それでも、この映画、SF・時間
・コミュニケーション・ラブストーリー
の各要素を融合し
エンターテイメントとして
仕立て上げられた魅力的な作品だった。

しかし、
話の設定そのものに疑問は残る。
もし主人公がヘプタポッドのように
自由に時間を知覚移動出来るということは、
彼女の人生のみならず、
世の中の運命や未来が
既に決まっているからこそ出来ることで、
そうなると、主人公の地球を救う行動や
ヘプタボッドの3000年後に
人類に救ってもらうための来訪そのものに
意味はあるのか、
ということにならないのだろうか。

私には、
未来とは全くの白紙・未定な世界で、
だからこそ現在の行動に意味があるのだ
としか思えないのだが。

KENZO一級建築士事務所