「期待ほどでない」メッセージ るか19さんの映画レビュー(感想・評価)
期待ほどでない
まさにメッセージという題名なのでそうあって然るべきなのだが、
しかしSFにメッセージ性を与えてしまうとより虚構性を感じさせる。
あなたは基本的にある日突然現れた宇宙船が、人類に対し友好的
だと思いますか、人類に対する侵略が目的だと思いますか?
あるいは目的は別として、異星人と分かり合えると思いますか?
私は、分かり合えたら良いとは思いますが、現実には難しいと思う。
人類の歴史が侵略と闘争の歴史であったことはもちろんだし、今でも
文化や宗教が違うだけで争いが絶えません。また、何万光年も離れた
天体から地球にやってこれるというだけで人類と異星人との間の
科学技術の差は明らかです。人類的な見方をすれば、そのような
異星人とは分かり合えないし、戦いたくてもとても勝ち目はないと
思うのが普通でしょう。あとは異星人の倫理性や人道性があるならば
それらが極めて高いことを祈るしかありません。
この映画ではそこに家族愛とか世界各国協調などの概念が異星人
とも分かり合えるための共通の普遍的なメッセージになるという
筋書きとなり、そこにどうしても安易さと嘘っぽさを感じてしまう
のです。
世界各地に訪れた宇宙からの巨大な侵入者により、人々はパニックを
引き起こす。侵入者が地球へやってきた目的は?友好か侵略か。
侵入者への対応の違いで世界各国は一時険悪になるが、最終的には
あることがきっかけで危機が回避される。そのあることというのが、
さらに嘘くさ過ぎて残念ながらこの映画を陳腐なものにしている。
まさにリアリティよりも安易なハッピーエンドづくりにしか思えない。
むしろ、何のメッセージ性もない純粋なSFの方が虚構を前提として
見れるので楽しめます。
CG等の画像技術については迫力があり、楽しめます。