劇場公開日 2017年5月19日

  • 予告編を見る

「SFというより哲学書」メッセージ シンドラーの手帳さんの映画レビュー(感想・評価)

2.0SFというより哲学書

2017年5月27日
Androidアプリから投稿

恐らく、評論家の評価は非常に高いと思う。もしかしたら、あの「2001年・・」クラスに匹敵するSF映画の傑作として認識されるかもしれない。しかし、市井の一映画ファンとしては、本作は果たしてSF映画なのか?という思いを持ってしまう。

突然に、バカでかい浮遊体が世界数カ所に出現し、伝統的なタコ型宇宙人が乗船しているというからには、間違いなくSFなのだろうが、鑑賞後感としては、かなり難解な哲学書を読んだという感じだ。

SFの感じがしない理由の一つは、主人公が科学者でもなく、兵士でもなく、ロボットでもない「言語学者」であること、さらには、映画の背景が地球規模であるにもかかわらず、映画の主題が主人公の内面に大きくシフトしていること、そして何より宇宙人の目的が極めて曖昧、もしくは具体性に欠けて描かれていることだ。

勿論、それぞれは映画の中で語られてはいるが、そのとおりだとすればかなりの全体主義、統一主義であって、ちょっと納得できない。原作者が中国人であることがここではっきりと解る。

また、結局は主人公をキリスト教的な「聖人」的扱いをすることにより、収束を図っていると思われ、「メッセージ」の本質、すなわち時間軸を考え直すところの新しい観念(「文字」として具体化されている)については、主人公へ「諦念」を押しつけている感じもして、変な矛盾感を覚えた。

要するに、原作に大きく引っ張られた脚本であり、商業映画としての完成度は低いと思わざるを得ない。さらに大胆な脚色が必要だったのではと思ってしまった。

また、天才ヴィルヌーヴ監督の過去作における、あの「やるせなさ」というか、「えぐられ感」といったものが鳴りを潜めているのも残念。

シンドラーの手帳
uttiee56さんのコメント
2017年5月28日

批評家受けはするけど、面白くはない映画。
なるほどと思いました。

uttiee56