「異色のSF映画でしたが、でも作品からのメッセージはホント素晴らしかったですね」メッセージ スペランカーさんの映画レビュー(感想・評価)
異色のSF映画でしたが、でも作品からのメッセージはホント素晴らしかったですね
SFでしか描けない、今悩み苦しみながら生きている人達へ向けた生きることの意味を問う、温かさ溢れる作品に仕上がっていましたね。
今や未来は希望よりも不安の方が大きい時代、この先も更に生きることへの不安が増長していくであろうことは想像に難くありません、そんな悩み苦しむ者へ向けた作品からのメッセージ・・・まあ単純な作品ではないので見終わってからちょっと整理する時間が必要ですが、ジワジワと感動が押し寄せてくる、これぞSFでしか描けない奥深いヒューマンドラマに仕上がっていて、さすがはドゥニ・ビルヌーブ監督だなと、改めて思わされた作品でしたね。
過去に類を見ない異色のSF映画だと言うのは何となく耳にしていたので、逆に深みはあってもSFとしては正直つまらなさそうだなと、内心そんなことも思いつつの鑑賞だったのですが(睡魔に襲われそうなイメージもあったので警戒しつつ)、なんのなんの、秀逸な音響効果と緊張感溢れる宇宙人とのコンタクトシーンに思わず引き込まれて、十分SF映画としての面白さも感じれた作品でした。
特にファーストコンタクトは半端じゃない緊張感でしたね、それから独創性のある宇宙船に、ベタなタコ型宇宙人、このギャップも何だか良く分からないけど結構クセになるビジュアルで深く印象に残りました。
主人公ルイーズの宇宙人へのアプローチも、どこか母性的でなかなか興味深かったです、お互いに未知なるものとの遭遇だけに、本来はこんなアプローチで根気強く接することが大事なのかもしれませんね、今の世界情勢を危惧したこれも一つのメッセージだったなと、そんなことも思わされた一幕でした。
しかし一触即発の世界情勢を憂うだけに留まらず、その先に本題が隠されていた辺りが、この映画の奥深いところだったでしょうか、人によっては本作を見ることで人生観すら変わってしまいそうなぐらい、生きることへの意義を見出すような作品になっていて、思わず唸らされてしまいましたよ。
ただ、独創的過ぎて、頭の中で整理するのにちょっと時間が掛かる(私の頭の回転が遅いことに問題があるだけなのかもしれませんが)のは少々難点だったでしょうか。
それからやや哲学的な内容でしたし、テンポも良いとは言えない作品だったので、その辺りで好みは分かれそう、でも愛に満ちた力強く壮大な作品からのメッセージは、十分受け取る価値あり、正直私にとっては苦手分野の映画でしたけど、これは見て良かった、一見の価値、いや一度結末を知った上でもう一度見る価値ありの作品だったなと思いましたよ。