劇場公開日 2017年5月19日

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「ただのフラッシュフォワードやん!」メッセージ ヒートこけしさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0ただのフラッシュフォワードやん!

2017年5月21日
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手堅い。故に熱狂できない。というかこれアラン・ムーア『ウォッチメン』の影響?エイミー・アダムス演じるルイーズの「感覚」って『ウォッチメン』第4章「時計職人」描かれるDr.マンハッタンの「感覚」だろ?その素晴らしい表現に対して本作のはただのフラッシュフォワードやん!

あと地球外生命体に対する人類の選択もかなり『ウォッチメン』っぽい(もちろん『ウォッチメン』も『2001年宇宙の旅』『アウターリミッツ』等の影響を受けている)。本作がポジなら『ウォッチメン』はネガやけど。SFにはセンスオブワンダーを求めたい俺としては本作はそこまで評価できない

とはいえ地球外生命体との「文字」によるコミュニケーションの描写は新鮮だった。『未知との遭遇』における「音」をちゃんと更新できている!ただクライマックスで文字に字幕を出しちゃうのはズッコケたけどな。あそこはルイーズが声に出しながら理解するという描き方でよかったんじゃない?

『メッセージ』の時間表現に驚いている人にはアラン・ムーア『ウォッチメン』を読んでほしい!あの「時間感覚」の表現方法は既にコミックという形で完成されているんですよ!

『メッセージ』のメッセージは「愛ゆえに傷つくこともあるがそれでも愛することが生きることなんだ」ということだと受け取った。確かにそうなのかもしれない…ぐらいのテンション。正直ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督は個人的にあまり相性が良くない気がする。『ブレードランナー2049』も期待せず待とう

『メッセージ』は自分の感想と世評との乖離という意味では今年ワーストかもしれん。いや面白いけどな

ドゥニ・ヴィルヌーヴとアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥは似た感じの印象。小器用に批評家受けのいい作品を連発するけど個人的にはまあどうでもいい感じというか…好き嫌いの問題やけんしょうがないな

『メッセージ』の多くの美点は否定せん。ただ凡庸な「時間感覚」の表現でさえ多くの批評家が評価していることが理解できん。あれだとただのフラッシュフォワード。その場その場で都合のいい「未来」を思い出しているようにしか見えん。それとも本当にただそういう感覚なの?だとしたら別に凄くなくね?

この「時間感覚」は『ウォッチメン』第4章「時計職人」でも描かれたんやけど表現方法がとにかく素晴らしいのよ!『メッセージ』の表現方法はその足元にも及んでない。やはりアラン・ムーアは偉大だ!

ヒートこけし