「どの視点で観るかで評価が分かれる映画」メッセージ TOKIESさんの映画レビュー(感想・評価)
どの視点で観るかで評価が分かれる映画
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原題はARRIVAL
邦題はメッセージ
この違いだけでも観点が異なる。前者は宇宙人の介入による地球平和、後者は宇宙人の言語の意味に注目している。
SFによくある宇宙介入による地球破壊を望めば、本作はあまりに地味であり、期待はずれだろう。
また相対性理論やワームホール、宇宙理論も出てこないので、そういったSFを望んでも肩透かしを喰らう。
これは、宇宙人が、破壊されゆく地球に救世主的な役割を果たすリアリティのあるSFであり、「言語」が地球破壊や地球平和をもたらす「武器」になるという深いメッセージが述べられている。「言語(言葉)」が世界を一つにする、というのは、少し考え込んでしまうような内容である。
またこの宇宙人の言語には時制がないため、過去も未来も全て現在形で表現される(らしい)。そのためか、この作品は現在も未来(過去)も並列で描かれる。主人公のHANNAHという子供の名前は後ろから読んでも同じ、というシーンが何度か出てくるが、過去も未来も同じ、よって時間が存在しない、という老荘思想的な時間論を描く手助けをしている。未来を透徹した目を持つ者(ルイーズ)だけがわかる世界なのだろうか。
相変わらず、最近のSFは米国と中国の一騎打ちであり、日本は蚊帳の外である。チャイナマネーなくして成り立たなくなったハリウッドの今が悲しい。
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