「SF史に名を残すであろう傑作!」メッセージ nagiさんの映画レビュー(感想・評価)
SF史に名を残すであろう傑作!
素晴らしい映画を観てしまった。
何から話せば良いのだろう。SF黄金期である50年代から現在に至るまで、ありとあらゆる手段、アイデアでSFは私たちに感動と興奮を提供し続けてきた。しかし、近年は画像・映像処理技術の目を見張る進歩にも関わらず、そのアイデアは既視感のあるような、またこれか。というようなものばかりであった。(近年での快作といえば、『インターステラー』『オデッセイ』くらいである。)さらに、尺の問題もある。SFというのはその性質上、2~3時間という限界は、明らかに短すぎるのである。従って、書籍原作のSFは勿論原作の方が楽しめるし、『星を継ぐもの』『幼年期の終り』などのSF界最高傑作らは、映画化不可能と言われたりする(幼年期の終りはドラマ化した。中々良かったので是非観て欲しい。)。
ゆえに、本作品も予告編を見る限り、まさに『幼年期の終り』に酷似しているし、『未知との遭遇』系のストーリーは既に万策尽きている。過去の名作を超えることはできないだろう。そう考えていたのだ。
しかし、本作を観て、震えが止まらなかった。変わった時間の進行のストーリーだが、ヘプタポッドがルイーズに与えた「武器」、これによって全ての伏線が1度にして回収される。ストーリーを中間で折り返し、エンディングとイントロダクションを同時にし、2つのストーリーを同時に追っていく。「武器」はルイーズだけではなく、私たちにも与えられていたのだ...これによって『メメント』を想起させる革新的な時間構成となった。冒頭で亡くなった娘、彼女が意味するところとは。この興奮は是非劇場で味わって欲しい。
ちょっとクセのある理論物理学者、「殻」の人知を超えた神々しさ、重力、ヘプタポッドの期待を裏切らないフォルム、ヘプタポッドと初めて意思の疎通がとれたシーンの美しさ...SFファンが手を叩いて喜ぶ定番要素は勿論全て詰まっている。そしてそれを2時間に上手く収めてきた。
『未知との遭遇』『コンタクト』を超えられない?いやはや、『メッセージ』は今までにないリアリティー、映像技術、そしてアイデアをもってして私たちにSFの本気を叩きつけてきた。これは間違いなくSF史上に残る名作となるはずだ。
これほどの傑作にリアルタイムで出会えたことが本当に嬉しい。これだからSFはやめられないんです!!
しゅんいちさん、コメントありがとうございます!おっしゃる通りで、SFは中々賛否が分かれるジャンルではありますよね。私も『ブレードランナー』は初見は理解に苦しむところがあったので良くわかります(笑)
それでも、何回も観返すことで新たな気づきがあって、その魅力に引き込まれていく、そういうものだと考えています。
『メッセージ』もう一度観ることでさらなる理解が出来たら素晴らしいなと思っております。
初めまして、レヴューを読んでとても感銘を受けました。
「攻殻機動隊」が登場した時も、「AKIRA」が登場した時も「ブレードランナー」が登場した時も当時は、一部の人にしか受け入れられてなかったように高度なSFというのは、どうしても受け入れられるのに時間がかかるように思います。 私もSF大好きなので、どこのセリフを取っても、どのシーンもとても納得のいく最高の仕上がりだと思いました。 演出の妙も然。 全体的にエリーザの視点を大事にしてる部分といい。 それだけに映画としてもエイミーアダムスの演技が凄く光って見えて主演女優賞を受賞してほしかったくらいです。 私も感想を書いたのですけど。。nagiさんの『 「武器」はルイーズだけではなく、私たちにも与えられていたのだ...これによって『メメント』を想起させる革新的な時間構成となった。冒頭で亡くなった娘、彼女が意味するところとは。この興奮は是非劇場で味わって欲しい。 』ここの文章にはやられました!! さすがです!!
この映画に出会えた喜びひとしおです。