劇場公開日 2017年5月19日

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「モノリス再降臨。」メッセージ さぽしゃさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0モノリス再降臨。

2017年5月14日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:試写会

・人生の意味が、急に定まる時がある。

『メッセージ(2016)』
原題:Arrival

※ 原作『あなたの人生の物語』
原題:Story of Your Life

(あらすじ)
地球の数カ所に突如として現れた巨大な半月型の物体で、世界は騒然としていた。
そんな中、言語学者のルイーズ(エイミー・アダムズ)の元に、米軍からある物とコミュニケイトするようにとの依頼がくる。
どうやら例の半月型の物体は宇宙船で、ある物とは中にいる異星人だった。ルイーズは、米軍のウェバー大佐(フォレスト・ウティカー)に連れられて、数学者であるイアン(ジェレミー・レナー)と共に、異星人が地球に降り立った理由を探る。

画像にあるあの半月型の物体の佇まいを見て、映画好きの皆様なら直ぐに「モノリスじゃん!」となると思います。
ええ、「2001年宇宙の旅」です。
モノリスが現れて、猿人は骨を道具として使うようになり、空にポーンと投げてー、それが宇宙に浮かぶ軍事衛星になるーってシーンがありますよね?

町山智浩著「映画の見方がわかる本」の中で、(元々のシナリオから)”骨から核ミサイルのカットのつなぎは「武器を使うことで進化した人類が、究極の武器、核爆弾まで生み出してしまった」という意味がある。
2001年の人類は、今すぐに戦争を克服しないと滅亡するかもしれない切迫した状況にあるわけだ”とあります。
その町山さんの説に全く異論はありませんが、あの骨の最終形態は軍事衛星ではないと思うんです。

あの後、宇宙船の中へ移り、CAのねえちゃんが浮かぶペンを掴む。
つまり骨の最終形態は、ペンです。
当時あのペンは、「会話を自動的に文字にするペン」と説明されていたようです。が、キューブリックがそう言った証拠が見つからなかったので、こう言い換えます。
ペン=言葉(言語)を表現する代表的な道具。
つまり、人間は核爆弾という愚かな道具を生み出してしまうが、それは言葉、会話、つまり外交によって(戦争は)回避できる筈だ。と、キューブリックは言っているのだと思っていたのです。

本作の監督であるドゥニ・ビルヌーブも、きっと私と同じ考えの筈!
なんか嬉しい(勝手に)。
あ、本作は最終的な武器:言葉を得た人類が、その後どのように進化したのか、モノリスが、確認のために再降臨する話です。
きっと。

それだけではなく、人生の厳しさと喜びを教えてくれる。
覚悟をもって生きろ!と、乗り越ろと、逃げるなと、語りかける。
自分自身の深い部分に、触れてくる。
ストーリーは淡々と進みますが、最後まで見ると、急にこみ上げてくるものがあり。
恥ずかしいくらいに、泣きました。
やっぱり、私も覚悟しないといけないんだなぁ、と。

原題:Arrivalについても語りたいけど、ネタバレになるので止めておきます(あとニーチェの“永劫回帰”もテーマの一つであって、そこも2001年宇宙の旅と同じだと思う)。
素晴らしい映画とは、今まで何気なく生きてきた人生に対して、新たな気付き、新たな視点を与えてくれる作品だと思っています。
今のところ、2017年ベストは本作です!!

だからお願いです。
予告を観た方は、きれいさっぱり忘れてください。
あまりにも酷いミスリードです。
5月19日公開予定です。

全力でオススメします!

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さぽ太