「時間軸に戸惑う」メッセージ 映写技師さんの映画レビュー(感想・評価)
時間軸に戸惑う
ある日突然、柿の種に似た強大な岩(宇宙船)12石が忽然と姿を現す。敵か味方か?謎は深まるばかりだ。言語学者である主人公は科学者達とチームを組み、謎の生命体とのコンタクトに挑む。本作は世界中の名だたる映画賞を席巻し、評論家が褒めちぎるSF感動作らしいのだが、私にはピンと来なかった。視覚的な面白さよりも普遍的な愛についての物語である。SF作品に登場する宇宙人の造形は、物語により使われるパターンがある。『スターウォーズ』に代表される異星間戦争ものは老若男女問わず楽しめる娯楽作品で人型タイプが主役となる。『エイリアン』に代表されるSFホラーは得体のしれぬ恐怖や憎悪を生む怪物が主役。『未知との遭遇』に代表されるコンタクトものは伝統的な宇宙人グレイや蛸イカ類が主役となる。本作は予想通り蛸イカ類でした。彼らが地球に飛来した目的を解明するためチームは悪戦苦闘する。高度な文明を持つであろう異星人にしてはやっていることが不自然で理解に苦しむ。ただ、普遍的な愛をテーマにする本作の流れを理解すれば、ストーリー上こうならざるを得ないと思う。※本作は我々が衆知するSF映画ではないので注意が必要です。あえて「これだ!」という明確な答えは用意されておらず、ちょっと意地悪な作り方をしています。ですから想像力と理解力が必要です。出来れば原作本「あなたの人生の物語」を読んで映画を鑑賞したほうがスッキリするでしょう。