「悩み苦しむ信徒の姿は日本人にはチト重い」沈黙 サイレンス うそつきかもめさんの映画レビュー(感想・評価)
悩み苦しむ信徒の姿は日本人にはチト重い
ちょうど同じ次期に『ハクソー・リッジ』の主演作が公開され、信仰心の強い人のイメージが定着してしまいそうなアンドリュー・ガーフィールド。
スパイダーマンの時は、どうにも役に馴染まなくて好きになれませんでしたが、今作でも彼を応援する気持ちにはなれませんでしたね。
どちらかというと、洋画というよりは、外国人が何人か出演しているだけの邦画に見えます。もちろんセリフは英語で話されますが、設定としてはポルトガル人の役なのでなぜ彼らが英語でコミュニケーションをとるのかは謎。
「ほっといて」
ということでしょう。
主に、英語圏のキリスト教徒を対象に製作された映画のようで、日本人のような無宗教なのかどうかハッキリしない民族性は、当時の宣教師たちには理解に苦しんだことでしょう。そもそも、神を信じることで、弾圧されたり差別されたりするストーリーは、日本人には受け入れにくいのじゃないかと思います。
隠れキリシタンの悲劇と、信徒にとっての受難を黙って見ている神が「沈黙」しているように感じるのは、熱心な信者ほど強いのでしょうか。「父なる神よ、あなたはなぜ何も答えてはくれないのですか」というセリフが、この映画のキモのようです。
作中では棄教したように描かれたロドリゲス神父が、最期まで信仰を捨てなかったことを、美談のように表現していますが、本当のところなにか、すがるものが必要なんだと思いました。だからあっさり信仰を捨てるし、改宗にも抵抗ないのでしょう。哀しいお話でしたが、幕府から見れば、彼らは宣教師、貿易商、海賊の3点セットで世界を征服しているように見えるので、認めるわけにいかない。末端の信徒たちは本当に気の毒です。